『ばけばけ』7話、視聴者爆笑のパワーワードでほぼ気付いた? バレバレな「ヒロインの秘密」 史実を見てみると
朝ドラ『ばけばけ』7話では、「無類の親戚好き」というパワーワードが話題になっています。これが飛び出したのは、ヒロイン「トキ」の秘密が関係しているようです。
ランデブーで励ましてくれる「無類の親戚好き」のおじ様?

2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は1890年に来日し、『怪談』『知られぬ日本の面影』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、「怪談」を愛し彼を支えた妻の小泉セツさんの生涯をモデルにした物語です。
2週目に入った同作では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」に関する、とある「秘密」が話題になっています。秘密とは言いつつも、視聴者の間でもすでに察している方が多いのではないでしょうか。
※この記事では『ばけばけ』の今後の展開に関わる史実の情報に触れています。
借金で困窮する松野家の家計を立て直すため、『ばけばけ』2週目では働き手となるトキの婿を探そうと「お見合い大作戦」が行われています。そんななか話題になっているのが、松野家の親戚「雨清水家」の存在です。
第7話では、雨清水家の当主でトキが働く機織り会社の社長である「傅(演:堤真一)」が、仕事終わりのトキを「ランデブー」に誘いました。傅はトキが大好きな怪談「松風」の舞台、清光院で恋占いの結果が悪かった彼女を励まします。また、傅の妻の「タエ(演:北川景子)」は、第6話ですでにトキの見合いの相手を見付けていることを語っていました。
何かと親身になってくれる雨清水夫妻に関して、松野家に戻ったトキは「遠い親戚の私を我が子のようにかわいがってくれるのはどげしてだろ」と、素朴な疑問を口にします。すると、松野家の大人たちは困惑し、父「司之介(演:岡部たかし)」がうろたえながら「あの人たちは無類の親戚好きだけん」と答えました。
「無類の親戚好き」という耳慣れないワードは放送後、X(旧:Twitter)でトレンド入りし、「『無類の親戚好き』ダメだ、今日一日ジワりそう」「無類の親戚好きってパワーワードすぎる」「『無類の親戚好き』という言い回しにいまだにじわるし、なんか影を感じる」とさまざまな反応があいついでいます。
7話の上記のやり取りで気付いた方も多いでしょうが、彼女の本当の親は傅とタエだと思われます。トキのモデルの小泉セツさんは、1868年2月4日に松江の武家の小泉家に生まれ、生後7日で子供がいなかった親戚の稲垣家に養子に出されました。彼女が生まれる前からの取り決めだったそうです。
トキの祖父「勘右衛門(演:小日向文世)」が彼女を「おジョ(お嬢)」と呼んでいるのも、稲垣家の要祖父の万右衛門さんが自分たちよりも上級の武家の家から来たセツさんをそう呼称していた、という史実に基づいています。
実際は、セツさんは自分が養子であることは早い段階で知らされていたとのことで、同じ松江に住む小泉家にも定期的に訪れていたそうです。松江藩の小泉家は代々三百石の禄があり、50人ほどの組士を束ねる番頭を務めていた名家で、セツさんは実の親の湊さんやチエさんから、先祖のさまざまな話を聞いたといいます。また、小泉家で生け花や茶の湯など、良家の子女としてのたしなみの基本も身につけました。
その後、セツさんは養父の金十郎さんが商売に失敗したせいで進学できなくなり、11歳から湊さんの機織りの会社で働き始めます。そして18歳(1886年)で、前田為二さんという鳥取県の士族の男性を婿養子に迎えて結婚しますが、同じ頃に湊さんの会社の経営が傾いてしまいました。
そして、セツさんは1887年、19歳のときに、夫の為二さんが稲垣家の貧しさに耐えられず出ていき、さらに実父の湊さんがリウマチを患い病死するという不幸に見舞われます。その後、セツさんは1890年に正式に為二さんと離婚し、小泉家に復籍しました。
史実を踏まえると、トキは雨清水家の協力を得てお見合いに成功しても、まだまだ苦労が多いと思われます。彼女が自分の出生の秘密を知るのはいつになるのか、離婚を経てセツさんのように「雨清水トキ」に戻るのか、今後に注目です。
※高石あかりさんの「高」は「はしごだか」
※本文の一部を修正しました。(2025.10.7 13:58)
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)、『セツと八雲』(著:小泉凡/朝日新聞出版)、『小泉セツ 八雲と「怪談」を作り上げたばけばけの物語』(三才ブックス)
(マグミクス編集部)