『ばけばけ』明治時代の新聞はオカルト天国? 東京でも松江でも「妖怪」報道が満載
日本に伝わる不思議な話を採録した『怪談』で知られる小泉八雲とその妻・セツをモデルにした朝ドラ『ばけばけ』が好評放送中です。毎晩のようにセツに怖い話をせがんだ八雲ですが、明治時代の新聞は、幽霊や怪物たちが紙面を賑わす時代でもあったのです。どんな記事が掲載されていたのでしょうか?
『ばけばけ』にも登場した、話を「盛りすぎ」な記者

「月給20円」という高条件から、ついにトキは「ラシャメン」になる覚悟を決めました。現在放送中のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、目が離せない展開が続いています。
小泉八雲とセツの夫妻をモデルにした『ばけばけ』は第7週に入り、レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)の家で、松野トキ(演:高石あかり)は女中として働き始めました。怪談好きなふたりが、どんな怖い話で打ち解けるのか注目したいところです。
ヘブンが松江に到着した際には、地元の新聞記者が取材に訪れ「ヘブン先生は100万を越える大観衆の歓迎に、喜びの涙を流した」と、かなりオーバーな表現で記事を書いていました。
テレビもインターネットもなかった明治時代は、どんな新聞記事が出回っていたのでしょうか。明治時代の新聞をひも解いてみましょう。
オカルト記事が多かった「東京朝日新聞」
明治時代には妖怪たちがかなりの頻度で出没し、新聞の紙面を賑わせていたようです。「川崎市民ミュージアム」の学芸員を務めた、民俗学者の湯本豪一氏が編纂した『明治妖怪新聞』(柏書房)を開くと、実にさまざまな怪物や幽霊たちが明治時代の日本をかっ歩していたことが分かります。
小泉八雲が来日した1890年(明治23年)だけを見ても、「東京朝日新聞」5月28日号には牛込神楽町で見せ物興行に使っていた「鬼の首」と「鬼の腕」を千葉方面の興行に貸し出したところ、持ち逃げされたという事件が掲載されています。本物の「鬼の首」「鬼の腕」だったかは定かではありませんが、250円もの投資が無駄になったと報じられています。
同年「東京朝日新聞」6月18日号には、京都府丹後国経ケ岬の沖合で海面を飛ぶ「コウモリ魚」を捕獲したという記事が載っています。「コウモリ魚」とはどんな怪魚だったのでしょうか。
さらに「東京朝日新聞」11月5日号では、区役所に自らの死亡届を届けた男性が、届出を受け取ってもらえなかったことが記事になっています。この男性は「アーラ不思議 届出にしたためた通り 翌日急病にかかりて死去」したそうです。
明治時代の新聞は、オカルト情報誌「ムー」ばりのびっくり記事をたびたび掲載し、読者の好奇心をあおっていたようです。


