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改変部分も絶賛された実写版、何が思いつく? 「肝は失ってない」「仕掛けのためだったのか」

マンガを実写化する際には、二次元と三次元の表現差によってどうしてもギャップが生まれるものです。その違いを埋めるために原作の改変が行われるケースもあり、しばしば議論を呼ぶことがあります。一方、上手い改変で、原作ファンから「成功例」として高く評価された作品もありました。

改変こそが仕掛けだった

原菜乃華さん(2023年2月23日、時事通信フォト)
原菜乃華さん(2023年2月23日、時事通信フォト)

 人気マンガの実写化作品では、内容を変更する「原作改変」がしばしば賛否を招くことも少なくありません。しかしその一方で、改変によって作品性が高まり、視聴者から絶賛された例もありました。

 実写化の成功例として人気を博し、ドラマ、映画ともにヒットした『岸辺露伴は動かない』シリーズ(原作:荒木飛呂彦)は、『ジョジョの奇妙な冒険』Part4に登場する漫画家「岸辺露伴(演:高橋一生)」を中心に描かれるスピンオフ作品です。

 本作では実写化にあたり、いくつかの原作改変が取り入れられています。なかでも大きな違いとして挙げられるのが、特殊能力「スタンド」に関する設定です。露伴は、対象を本のようにして情報を読み取る能力「ヘブンズ・ドアー」を使いますが、実写版ではこの力を「ギフト」と表現していました。

 また、原作では能力を使用するとペンを持った少年らしき姿が描かれますが、実写版だと登場しません。

 ほかにも、露伴の担当編集者「泉京香(演:飯豊まりえ)」をメインヒロインに据えたのも、大きな変更点のひとつです。実写版だと全エピソードに登場する京香ですが、原作では『富豪村』と『ホットサマー・マーサ』にしか登場しません。

 これらの改変はファンから、「スタンドはスタンド使いにしか見えないから映さないという判断ナイス」「相当改変してるけど、露伴先生のトンチキ具合とか話全体の軸をキッチリ抽出してて良い」「京香がどんどん最強キャラになってくのも楽しい」と絶賛されています。

 また、大胆な改変が行われた実写作品といえば、『LIAR GAME』(原作:甲斐谷忍)も外せません。正直者の主人公「神崎直(演:戸田恵梨香)」が、謎の組織によるゲームのトーナメント「ライアーゲーム」に巻き込まれ、天才詐欺師「秋山深一(演:松田翔太)」とともに数々の頭脳戦へ挑んでいく物語です。

 本作は、オリジナルキャラクターの登場やゲームの勝敗など、原作と実写版で異なる点が多々あります。そのなかでも、大胆な改変となったのがゲームの参加者のひとり「福永ユウジ」のキャラクター設定です。

 原作の福永は坊主頭をしたニューハーフで普段は女装していますが、実写ではキノコのような髪型が特徴のメガネをかけた男性に変更されています。また、性格も原作よりオーバーなリアクションをする、濃いキャラクターに変わっていました。

 実写版の福永は視聴者に強烈な印象を与え、福永を演じた鈴木浩介さんは過去のインタビューで「『LIAR GAME』は僕のターニングポイントになったと思います」と語っています。本作は2026年にアニメ化が決まっており、「フクナガがオカマになるかキノコになるかが最大の注目点」などと、注目しているファンも多いようです。

 最近の作品では、あるとき霊が見えるようになってしまった「四谷みこ(演:原菜乃華)」が、全力で霊をスルーする姿を描いた映画『見える子ちゃん』(原作:泉朝樹)も大きな改変がありました。

 本作もオリジナルキャラクターの登場のほかいくつか改変があり、特に大きいのは「霊」に関する設定です。原作だと、みこが見えるようになった化け物たちは「霊」とは明言されておらず、一般的な幽霊とは違う「異形なヤバいやつら」として表現されており、公開前は、この設定変更に不安を抱く声もありました。

 しかし、本編には「人型の霊」だからこそ成り立つあるギミックも仕掛けられており、公開後は当初懸念されていた改変点が高く評価されています。

 監督を務めた中村義洋さんは、改変点についてYouTubeチャンネル「KADOKAWA映画」の動画で、当初は原作通りに制作しようと思ったことを語っていました。しかし、コミックでは怖く描けるクリーチャーも、実写映像にすると怖さが薄れてしまう可能性があるため、原作者の泉先生の了承を得たうえで設定を変更したそうです。

 実際に観客からも「クリーチャーをCGで表現すると、ちょっと面白くなっちゃうからJホラーテイストで正解だった」「『残穢』の中村監督らしい得意分野で勝負して正解」といった声もあがっており、改変が作品の魅力につながった例といえます。

(LUIS FIELD)

【画像】え… 「かわいすぎる」「顔ほぼ今と同じ」 コチラが原菜乃華さんの子役時代(11歳)の姿です

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LUIS FIELD

マンガやアニメをこよなく愛するライターが多く在籍する編集プロダクションです。幅広い年代が所属し、レトロ系から新作までおさえた「語りたくなる」記事を心がけています。