放送終了15年目で白熱する『ウルトラマンマックス』人気の秘密 原点回帰と自由な革新性
2021年、なぜかインターネットやSNS上では『ウルトラマンマックス』に関する話題が続々と上がっています。2006年の放送終了から15年を迎えたタイミングで、人気急上昇中の理由を探ります。
原点と革新を両立させた『ウルトラマンマックス』
「最強!最速!」……そんなキャッチコピーを掲げたウルトラ作品が、2005年に放送されていました。『ウルトラマンマックス』と、シンプルでわかりやすいタイトルの作品が放送終了15年を迎えた2021年になって、人気が再燃しています。なぜ今になって話題に上がっているのか? 本作が「原点回帰」と「革新」という相反するふたつの要素を両立させた稀有な作品だったことが、理由のひとつに挙げられます。
『ウルトラマンマックス』の魅力は、まず「単純明快」であることです。これは放送当時から支持される要因であり、ハードでシリアスな連続ドラマ方式だった前作『ネクサス』とは一転、『マックス』はシンプルな一話完結のオムニバス方式で制作されました。
大人向けの作風であった『ネクサス』はハマる人もいる一方、「土曜の朝からメンタル削られる」という声もあり評価は二分されましたが、『マックス』は「子供と一緒に盛り上がった」と、ウルトラ作品が本来持つワクワク感を親子で楽しめる作品でした。
そもそも『ウルトラマンマックス』は「原点回帰」をかなり重要視して制作されています。ウルトラマンの原点である「『ウルトラQ』の摩訶不思議な世界にヒーローが登場する」という視点を意識し、主役はあくまで怪獣や宇宙人。その意思表明として第1話ではいきなり2体の怪獣が投入され、主役をハッキリさせていました。「原点回帰ながらも派手にいく」というメッセージも込められています。
さらに、それまでの平成作品ではオリジナル怪獣ばかりが登場していたのに対して、ゼットンやキングジョー、バルタン星人といった昭和シリーズのスター怪獣たちも登場しました。ハヤタ隊員役=黒部進さんやアキコ隊員役=桜井浩子さんら『ウルトラマン』のスーパースターたちも、別の役として再登場。旧怪獣や過去作の俳優陣が登場する展開は今となっては定番となりつつありますが、『マックス』はその先駆けとなる作品でした。
しかも、過去作とつながりは見せつつも、世界観は全く関係のないパラレルワールドという設定であり、この点も現在では新鮮味があるのかもしれません。