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「源平の戦い」といえば『源平討魔伝』だよね? 地獄から始まる、名作和風アクション

源平合戦を描く作品は数多くありますが、かつてゲームセンターやファミコンなどで独特の存在感を放っていたアクションゲーム『源平討魔伝』が忘れられない人も多いのではないでしょうか。何より、地獄から蘇った平家の武士が頼朝を討伐するというストーリーが斬新で……?

「必殺、旋風剣!イヤァァァァ!」

アーケード版に忠実な形で移植された、PCエンジン版『源平討魔伝』(ナムコ)
アーケード版に忠実な形で移植された、PCエンジン版『源平討魔伝』(ナムコ)

 源平合戦から鎌倉幕府の成立を描く大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が放送中ですが、源氏ではなく平家が勝ってしまう……そんなゲームをご存知ですか? 1986年に全国のゲームセンターで稼働した、ナムコ(現・バンダイナムコ)の和風伝奇アクション『源平討魔伝』を紹介します。

 1986年にアーケードゲームとして登場した『源平討魔伝』は、浄瑠璃の「出世景清」をモチーフとしたアクションゲームです。魔族を率いて日本を支配する源頼朝を討つべく、壇ノ浦の戦いで命を落とした平家の武者・平景清(たいらのかげきよ)が地獄から蘇る……という、伝奇色の強い設定と純和風の世界観が当時としてはとても珍しく、注目を集めていました。

 景清が蘇った理由は、「ぷれいや」なる異世界の住人のお布施によるとされています。プレイヤーがゲームセンターへ遊びに行き、本作の筐体に100円を投入するという、一連の流れが設定として取り込まれているのがユニークですね。

 本作は『スーパーマリオブラザーズ』のような横スクロールのアクションが展開する「横モード」、俯瞰視点で上下左右に動きながら進める「平面モード」、そして景清や立ちはだかるボスたちが圧巻のビッグサイズで描かれる「BIGモード」の3つで構成されています。

 1986年というのは、ゲームセンターで一躍大ブームを巻き起こした『ストリートファイターII』はもちろん、その前作にあたる『ストリートファイター』もまだ稼働していない時期です。その時期にこれだけ大きなキャラクター同士が死闘を繰り広げる様は、当時の「ぷれいや」たちを一瞬で虜(とりこ)にしました。

 また、当時としてはビデオゲームのキャラクターにボイスがついているのも大きな衝撃でした。BIGモードで登場する武蔵坊弁慶が散り際に言う「これで勝ったと思うなよ!」や、「巻物」アイテムを取った景清が発する「必殺、旋風剣!イヤァァァァ!」が耳にこびりついた「ぷれいや」は大勢いたことでしょう。

 そして、「諸行無常」の哀愁漂う和風のBGMも好評でした。そのインパクトや人気を踏まえたのか、後年リリースされた『リッジレーサーV』や『太鼓の達人12』には、本作のBGMをアレンジし、ボイスを入れ込んで仕上げた楽曲「Samurai Rocket」が収録されました。テクノロックという趣(おもむき)の強いアレンジがなされていますが、元となる曲がよければ大胆なアレンジをしてもその魅力は損なわれないのだと、改めて感じたのを覚えています。

【画像】希少すぎ? カセットテープで発売されていた『源平討魔伝』のサントラ(5枚)

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