「源平の戦い」といえば『源平討魔伝』だよね? 地獄から始まる、名作和風アクション
ファミコン版はなぜか「ボードゲーム式RPG」に?
『源平討魔伝』は、1988年にファミコンにも移植されています。ところが、このファミコン版はさらに大きな異彩を放つ作品でした。
「コンピュータボードゲーム」と銘打たれ、ひときわ大きなパッケージのなかにはゲームカセットのほか、厚紙で作られた日本地図や景清を模したダイキャストのコマが付属。アクションゲームではなくRPGとなったゲーム進行に合わせて、プレイヤーが自分で景清のコマを進めていく……ゲームは最大4人までプレイ可能という、独特なゲームとなりました。
後年、スタッフが語ったところによれば『源平討魔伝』はもともとそのようなデザインのゲームとして企画され、世界観が固まった時点でファミコン版よりも(アクションとしてデザインされた)アーケードゲーム版を先に出した……というのが真相らしいのですが、そんな事情は知るべくもない当時のプレイヤーたちは大変驚いたことでしょう。
ただ、アーケード版は決して易しいゲームとはいえず、かなり歯ごたえのある内容でしたので、RPGになったことで多くのファミコン少年が遊びやすくなった……という側面もありました(筆者はその恩恵にあずかった1人でした)。
『源平討魔伝』のファミコン版は、いま手に取るのは困難ですが、アーケードゲームの移植版はPlayStation Storeとニンテンドーeショップで配信されています。また、2020年に発売された「PCエンジン mini」には、1990年にPCエンジンに移植された『源平討魔伝』が収録されています。
PCエンジン版はアーケード版に忠実ながら、「弁慶の泣き所」ということわざにならって、弁慶のすねのあたりを攻撃すると大ダメージを与えられる……というユニークな設定も盛り込まれています。
マンガ・アニメでは『鬼滅の刃』、ゲームでは『ゴースト・オブ・ツシマ』『モンスターハンターライズ』、『ポケモン レジェンズ アルセウス』など、近年は和風な世界観の大ヒット作品が目立ちます。35年以上前に、ゲーム少年に強烈なインパクトを与えた和風アクションゲーム『源平討魔伝』もまた、後世に語り継ぎたい作品のひとつです。
(蚩尤)