ファミコンの性能を「限界突破」した名作ゲームたち 「グラフィックきれい過ぎっ!」
限られたハードウェア性能を技術力で乗り越え、当時は不可能とされた表現を実現したファミコンソフトの傑作たち。映像、色彩、音響――それぞれ異なるアプローチでファミコンの限界に挑んだ3作品をご紹介します。
ハードの制約なんて関係なし?

Nintendo Switch 2の美麗なグラフィックを楽しむゲーマーが増える一方、レトロゲームも再び脚光を浴び「え、これ本当にファミコンなの?」と驚かせた名作たちも改めて注目されています。
限られたスペックの中で開発者が創意工夫を凝らし、ハードの可能性を極限まで押し広げた驚異の3作品を紹介します。
●『メタルスレイダーグローリー』(1991年)
ハル研究所が送り出した『メタルスレイダーグローリー』は、ファミコンでアニメーション表現がここまで可能なのかと当時のゲーマーを驚かせました。
本作は2062年の未来を舞台としたSFアドベンチャーで、主人公「日向 忠(ひむかい ただし)はガールフレンドの「エリナ・ファーファ」とともに、軍事用のメタルスレイダー「グローリー」に秘められた謎に迫っていきます。
最大の革新は、登場キャラクターが「生きている」かのような細やかな表情変化です。従来のファミコンのアドベンチャーゲームといえば、キャラクターの表情は静止画同然でしたが、本作では瞬きはもちろん、会話中の微細な視線の動き、感情に応じた表情の変化まで丁寧に描写されていました。
特に印象的なのは、画面に複数のキャラクターが登場する場面での演出です。メインで話すキャラクターだけでなく、背景で聞き役に回っているキャラクターまで、それぞれが独立した動きと表情を見せ続けます。この技術は、8メガビットという当時としては破格の大容量ROM、そして演算処理を支援する特殊チップの搭載により実現されました。
本作はファミコンにおける映像表現の到達点を示した歴史的な作品といえるでしょう。
●『星のカービィ 夢の泉の物語』(1993年)
任天堂とハル研究所が共同開発し、ファミコン末期に登場した『星のカービィ 夢の泉の物語』は、「スーパーファミコンのソフトより美しい」という評価を受けるのも納得の、ファミコン芸術の極致を体現した名作です。
本作は「カービィ」シリーズおなじみのコピー能力が誕生した作品であり、ファンタジーでポップな世界観も大きな魅力のひとつです。
ファミコンは同時表示可能な色数に厳しい制限がありましたが、本作はその制約を逆手に取り、ファンタジックな世界観の構築に成功しました。特に終盤で待ち受けるラスボス「ナイトメア」との戦闘シーンは圧巻で、2種類の戦闘背景や第2形態のナイトメアの移動演出は目を見張ります。
●『悪魔城伝説』(1989年)
コナミが開発した『悪魔城伝説』は、ファミコンの音響表現を大幅に向上させた画期的な作品です。VRC(Virtual Rom Controller)と呼ばれる特殊チップを駆使し、ファミコン本来の同時発音数の成約を突破しました。
従来のファミコンでは、本体内蔵の音源チップによる限られた音数での楽曲制作が一般的でした。しかし本作は、カートリッジ側に搭載した拡張音源とハード本体の音源を同時使用することで、格段に厚みのある楽曲を実現しています。
シリーズの代表楽曲「Vampire Killer」の響きを初代『悪魔城ドラキュラ』と聴き比べれば、その音響的進歩は歴然です。重厚なベースライン、複層的なメロディライン、そして豊かな和音進行は、もはやファミコンという枠組みを超越した音楽体験の感動がありました。
(マグミクス編集部)