マグミクス | manga * anime * game

えっ、気づかなかった…! 初代『スーパーマリオ』が容量節約のため使い回した「意外なモノ」とは?

発売40周年を迎える『スーパーマリオブラザーズ』誕生の裏側には、実は開発者の涙ぐましい「容量」との戦いが潜んでいたのです。

そうだったのか! ゲーム画面に隠された「節約術」

ファミコンソフト『スーパーマリオブラザーズ』のカセット(マグミクス編集部撮影)
ファミコンソフト『スーパーマリオブラザーズ』のカセット(マグミクス編集部撮影)

 初期のファミコンソフトの歴史は、データ容量との戦いの歴史でした。それは世界で最も人気のあるゲームシリーズのひとつ、「マリオ」シリーズにおいても、例外ではありません。

 およそ40年前の1985年9月13日に発売され、今日のマリオ人気を不動のものにした『スーパーマリオブラザーズ』もまた、少ない容量をやりくりして、どうにか作り上げた傑作です。その容量は、実に「40キロバイト」でした。今、スマホで写真を撮れば、1枚で数メガバイトはありますから、その容量の小ささには改めて驚かされます。

 では『スーパーマリオブラザーズ』は、いかにこの難問をクリアしたのでしょうか。その答えは全て、ゲーム画面に最初からずっと示されていたのです。確認していきましょう。

 容量を節約するとなれば、グラフィックの情報量を工夫しないといけません。いかに簡略化しつつ、ゲームとしての世界観を維持するかが、喫緊の課題となります。この制約のなか、『スーパーマリオブラザーズ』は、非常にスマートな解決策を導き出しています。

 例えば「マリオ」のキャラクターデザイン。髪の毛を簡略化するために帽子を被せ、同じく少ない色数で体と腕を表現するためにオーバオールを着せました。これで、私たちの知る「マリオ」は完成したのです。あの特徴的なビジュアルは、必要に迫られてのものだったといえます。

 続いて、ゲーム画面を見てみましょう。お馴染み「1-1」は背景に白い雲が浮かび、地面には草が生えています。見慣れた景色ですが、ここにも節約術が冴えわたっていたのです。

「雲」のグラフィックと、「草」のグラフィックはよく見ると、色が違うだけで、同一のものであることに気付かされます。「草」の方は下部が地面に埋まっているため、パッと見るだけではなかなかわかりません。これは素晴らしい「使い回し」です。本来、「使い回し」はややネガティブな要素を持つものですが、この「使い回し」がどれだけ効果的だったかは歴史が証明してくれています。

 ちなみに、ゲームでは城を攻略するごとに、英語でのメッセージが表示されます。これは日本語の「かな」50文字に対し、「アルファベット」26文字の方が、容量的に都合が良かったからに他なりません。時折、『マリオ』プレイ時になんらかの「縛り」を設けて遊ぶ人もいますが、開発側の方がよっぽど縛りがキツく、それでいて見事にクリアしていたのです。

(片野)

【画像】あっ本当だ! これが『スーパーマリオ』で使い回されていた「意外な素材」です(5枚)

画像ギャラリー

片野

構成作家。1960年代カルチャーを好む。これまでに「ウルトラ」シリーズをはじめとする特撮番組、「ドラゴンクエスト」「ポケットモンスター」など国民的RPGシリーズ、ギャグマンガのジャンルで記事を多数執筆。