日本の三大RPG『ドラクエ』『FF』、あと一本は? 世代で異なる意見
RPG黄金期から今日に至るまで、「日本の三大RPG」に何を選ぶか、その都度話題となりました。その実績から『ドラクエ』『FF』が加わる傾向が強いものの、あと1本は意見が大きく分かれます。果たしてどんなタイトルが、これまで候補に挙がったのか。各時代を振り返りつつ紹介します。
『ドラクエ』『FF』に並ぶ、日本の三大RPGとは…
あるカテゴリーのなかでも特に優れたものを、「ベスト3」や「3本指に入る」など、上位3つに絞られることが多々あります。日本三景や三名城など、誰もが一度は耳にしたことがあるはず。
ですが、この三大○○は諸説ある場合も少なくありません。三名城の場合、「名古屋城」は定番ですが、ほかは「姫路城」「大坂城」「熊本城」が競っており、この中のどれが残り2枠に食い込むかは、定義や見方によって変わってきます。
このように、三大〇〇は意見が分かれやすいもの。ゲーム業界でいえば、「日本の三大RPG」がまさにその典型的な例です。ファミコン時代から始まり、今もゲーム業界の最前線で活躍している「ドラゴンクエスト」シリーズと「ファイナルファンタジー」シリーズは、国民的RPGと呼ばれることも多く、「日本の三大RPG」の2枠を占める実力の持ち主。ですが残りの1枠については、視点や時代によって、意見は大きく分かれます。
果たしてこれまで、どんな作品が「日本の三大RPG」の候補に挙がってきたのか。その一部を、今回紹介します。なお、アクションRPGなどを入れるとさらに意見が分かれるため、今回は、アクション要素のない国産のターン制RPGシリーズに限定してお届けします。
●悪魔と人の生み出すドラマが刺激的 『デジタル・デビル物語 女神転生』シリーズ
初代『ドラクエ』が登場したのは、1986年5月。そして初代『FF』は、1987年12月に発売されました。いずれも30年以上の歴史を持つ名シリーズですが、ほぼ同時期に登場し、今も人気を博しているシリーズのひとつが『デジタル・デビル物語 女神転生』です。
「悪魔」や「天使」といった異形の存在を相手に、時に敵対し、時に交渉して「仲魔」に加える「女神転生」シリーズは、ファミコンソフトとして登場。神話や伝説上の存在をパーティに加える心地よさや、「仲魔」同士を合体させて新たな悪魔を生み出す「合体」などの斬新な要素で、王道RPGとは一線を画して多くのユーザーを魅了しました。
スーパーファミコン以降は発売元が変わり、またタイトルも『真・女神転生』に変更。そのため、ファミコン時代から続く「女神転生」シリーズとして見るか、スーファミ以降の「真・女神転生」シリーズとして見るかで意見が分かれます。ですが、悪魔と人間の本性と業を描くこのRPGシリーズは、従来作品とは異なる魅力と進化を遂げ、当時の三大RPG論の一角を占めるほどの人気を集めました。
ちなみに、シリーズ最新作『真・女神転生V』が2021年11月に発売。その活躍は、今もなお続いています。
●セガハードの代表格でもあった人気RPG「ファンタシースター」シリーズ
こちらもほぼ同期といえる「ファンタシースター」シリーズも、三大RPGのひとつとして推す声が小さくありませんでした。このシリーズの黎明期は、いずれもセガ系のハードで展開。シリーズ名にもなった1作目『ファンタシースター』はセガ・マークIIIソフトとして登場し、ナンバリングの2~4作目まではメガドライブ向けにリリースされました。
当時、ファンタジー系RPGが主流だったなか、「ファンタシースター」シリーズは星々を駆ける壮大なSF要素も盛り込んでおり、独自の世界観を構築。また、1作目が登場したのは1987年12月ですが、敵がアニメーションするバトル、主観視点のダンジョンが滑らかにスクロールするなど、当時の平均的なレベルを大きく上回る演出力の高さを見せました。
『ドラクエ』はまだ2作目、『FF』に至っては『ファンタシースター』と同月発売というタイミングを考えると、時代の1歩も2歩も先に進んでいたことが分かります。そのため、セガハードを代表するRPGの顔としての一面も担い、セガファンを中心に三大RPGに推す声が目立っていました。
そんな「ファンタシースター」シリーズもですが、今はオンラインアクションRPG『ファンタシースターオンライン2 ニュージェネシス』が展開中。未来感に溢れていたRPGは、オンラインゲームの最前線に居場所を移しました。