『ウルトラマンデッカー』癒やされたい人続出? 歴代隊長にはなかったムラホシの魅力
他にもいるウルトラシリーズの個性的な隊長たち

ムラホシ隊長が今までにないタイプと前述しましたが、筆者セレクトでウルトラシリーズに登場した他の隊長たちを何人か振り返ってみましょう。
まず、歴代最初となるのが『ウルトラマン』に登場した科学特捜隊のムラマツ・キャップです。隊員たちからは「キャップ」と呼ばれ、厚い信頼を寄せられていました。冷静沈着な判断力と、科特隊の使命には忠実なプロフェッショナルな面を持ち、時には冷徹な判断を下すこともあります。
普段は温和な面もありますが、責任感の強さから隊員を叱責する姿をたびたび見せていました。また、科特隊の専用機ビートルの操縦や、基本装備であるスーパーガンの扱いにも長け、肉弾戦ではダダを一方的に叩きのめした実績もあります。
続いて印象的だったのが、『帰ってきたウルトラマン』に登場するMATの伊吹竜隊長。前任の加藤勝一郎隊長に変わり、二代目のMAT隊長になりました。
一言で言うと「鬼隊長」というイメージが強く、強面の顔も相まって一見すると近寄りがたい雰囲気のある隊長です。しかし内面は厳しくも優しく、激情家に見えるのはシャイな性格を表しているのかもしれません。
そんな性格の持ち主だからか、「怪獣にくれてやった」と休暇を一度も取らずにMAT隊長の激務をこなしていました。また戦闘力も相当なもので、ニューヨークから転任直後にゴキネズラ戦でパイロットとしての腕前を見せ、単独でゼラン星人を射殺するなどの活躍も見せています。
ウルトラシリーズ初の女性隊長となったのが、『ウルトラマンティガ』に登場するGUTSのイルマ・メグミ隊長でした。責任感があって隊員たちから強い信頼を寄せられている点は、これまでの隊長たちと変わりません。むしろ女性特有の物腰の柔らかさが、隊長としての厳しさをだいぶ緩和しています。
普段、前線での戦いは副隊長のムナカタ・セイイチに任せ、基地からの指令に専念しています。しかし最終回や劇場版など、ここぞという時は戦闘機ガッツウイングに乗り込んで最前線で戦う勇ましさを見せていました。ただしプライベートでは、シングルマザーとしてひとり息子との関係に悩む一面があるなど、完ぺきではない一面を見せることもあります。
最後に近年でもっとも目立つ活躍をしたのが、『ウルトラマンZ』に登場したストレイジの隊長ヘビクラ・ショウタでしょうか。いい兄貴分というイメージで、クセの強い隊員たちの個性に添った作戦で任務を遂行します。
その正体は『ウルトラマンオーブ』に登場したジャグラス ジャグラーで、本来ならウルトラマンと敵対する側の人物でした。しかしオーブとの戦い以降、紆余曲折あって死んでしまった本来のヘビクラと入れ替わり、ストレイジの隊長となります。
「自分の正義を絶対だと思う者たちに、その正義の危うさを思い知らせる」という目的のため、正体を隠して秘かに暗躍していました。しかし、その目的よりも時にはストレイジの隊長としての任務を優先、結果的にはストレイジ隊長として最終決戦に挑んでいます。その飄々とした性格と行動パターンが魅力となって、作品の人気を盛り上げた一因となりました。
以上が筆者のセレクトした歴代ウルトラシリーズの隊長たちですが、ご紹介できなかった隊長のなかにはもっと魅力的な人物もいます。みなさんはどの作品の隊長が、好みのタイプでしょうか?
(加々美利治)