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ファミコンとTVを繋いだ「謎のスイッチ」の正体 当時の子供は慣れない工作に苦戦?

ファミコンが発売された当時はまだビデオ端子のついていないTVが主流であり、接続にはRFスイッチと呼ばれる機材を使う必要がありました。生まれて初めてドライバーやカッターを握りしめ、TVとファミコンを接続しようと奮闘した方も多いのではないでしょうか。RFスイッチとはなんだったのかを振り返ります。

アナログ時代のゲーム機接続は大変だった

当時のファミコンに同梱されていた「RFスイッチ」は、ゲーム画面をTVに映し出すために必要な機器だった(以下すべてマグミクス編集部撮影)
当時のファミコンに同梱されていた「RFスイッチ」は、ゲーム画面をTVに映し出すために必要な機器だった(以下すべてマグミクス編集部撮影)

 1983年7月15日に発売されたファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)は、今年2023年で発売から40周年を迎えました。
 当時のTVはアナログで、ビデオデッキの普及率もようやく10%を超えたばかりの時代でした。TVに外付けの機材をつなぐという使い方自体がまだ一般的ではなく、現代のTVなら当然備えられているHDMI端子はおろか、アナログのビデオ端子すら存在しないことも多かったのです。
 そのような時代に、ファミコンをどのようにしてTVに接続していたのかというと、「RFスイッチ」と呼ばれる機材を使用していました。当時ファミコンを楽しんでい方なら、ファミコンとTVの配線の間につながっている四角い装置に見覚えがある、あるいは実際に自分でTVに取り付けた覚えがある方も多いのではないでしょうか。

 アナログTVの時代は、アンテナで受信した信号を同軸ケーブルと呼ばれる線を通じてTVに送り込んでいました。ケーブルは真ん中に心線と呼ばれる胴線があり、周囲はプラスチックとゴムでコーティングされています。ファミコンとTVをつなぐ場合は、この同軸ケーブルをRFスイッチに接続する必要がありました。

 時には自分で心線をむき出しにするために、カッターなどで周囲を削る必要があったのです。「もしTVを壊しちゃったらどうしよう……でもファミコンやりたい……」と心のなかで葛藤しながら、おっかなびっくり接続作業を行なっていた方もいるでしょう。筆者もそのなかのひとりでした。

 この同軸ケーブルはL型のコネクターやF型のコネクターなど、いくつかの形式でTVに接続されていたのですが、ファミコンのような外部の機材をつなげるためには同軸ケーブルとTVの間に強引に割り込む必要がありました。はっきり言ってしまえば地上アナログ放送の空きチャンネルを乗っ取るための機材、それがRFスイッチだったのです。

 ファミコンの裏には「1ch」と「2ch」の切り替えスイッチがありますが、関東地方は1chがNHK総合、3chがNHK教育で2chが空いています。関西地方では1chが空きで2chがNHK総合だったので、このスイッチで空いている方のチャンネルを選んで、ファミコンの映像を映し出したのです。スイッチの切り替えを間違えるとTVが映らなくなってしまうので、困った方もいたのではないでしょうか。

※同軸ケーブルではなく、より古い規格である「フィーダ線」を使用しているTVの場合は、さらに「75Ω/300Ω変換器」をRFスイッチと組み合わせて使用する必要がありました。

【画像】つなぎ方、おぼえてる? ファミコンの「RFスイッチ」接続方法(7枚)

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