なぜ「恋愛シミュレーションゲーム」の新作がなかなか出ない? 美少女たちはどこへ行ったのか
1990年代に流行した『ときめきメモリアル』に代表される「恋愛シミューレ―ションゲーム」は、2010年代から徐々に勢いを失ってきました。現在、特に男性向けの恋愛シミュレーションゲームの最新作がなかなか出てこない状況です。なぜなのでしょうか。
1990年代は恋愛&育成ゲームが人気を博した
1990年代、『ときめきメモリアル』(以下、ときメモ)に代表される「恋愛シミューレ―ションゲーム」が大流行しました。2000年代以降も各社から新作タイトルが発売されてきましたが、2010年代からはスマホアプリと入れ替わるような形で完全に勢いを失ってしまいます。現在、特に男性向けの恋愛シミュレーションゲームの最新作がなかなか出てこない状況です。なぜなのでしょうか。
つい先日、2024年5月18日から19日にかけて、東京の立川ステージガーデンでPCエンジン版『ときメモ』発売から30周年を記念した「ときめきメモリアル 30th ANNIVERSARY LIVE エモーショナル presented by TOKYO MX」が開催されました。当時のキャスト14人が初めて勢ぞろいしたイベントで、30年という時を超え、多くの「メモラー」たちが集結。感動と熱気に包まれた夢のようなイベントは、大盛況のうちに幕を閉じました。
この『ときメモ』が生み出したのが、「恋愛シミュレーション」というゲームジャンルでした。
『ときメモ』に先行したタイトルとしては、ガイナックスの『プリンセスメーカー』やジャパンホームビデオの『卒業 ~Graduation~』、といったPC版のソフトもありますが、100%恋愛を目的とした内容ではありません。
エルフが発売した『同級生』は恋愛シミュレーションの元祖といっても過言ではありませんが、「ビジュアルノベル」としての性格の方がより強いタイトルでもあります。そして18禁タイトルはコンシューマーゲームと比較すると規模が小さい問題もあり、1995年のPlayStation版発売により人気を「爆発」させた『ときメモ』こそが、ジャンルを確立させたタイトルといって良いと考えます。
さて、『ときメモ』の大ヒットを受けて、当時はさまざまなタイトルが発売されました。『ときメモ』と同じKONAMIからは『みつめてナイト』。女性向けとしてはKOEIの「アンジェリーク」シリーズが人気を博し、1998年にNECから発売された『センチメンタルグラフィティ』は、なぜか発売前からグッズ類が飛ぶように売れる、異常現象を引き起こしていました。あの現象は今考えても理由がまったく分かりません。
1999年には『ときめきメモリアル2』も発売され、恋愛シミュレーションの人気はまだまだ続くと思われていました。しかし、2000年を過ぎたあたりから、急速に勢いが衰えていきました。
その理由のひとつが、「ビジュアルノベル」の台頭です。