『赤影』語り継がれる大傑作が若い世代にあまり継承されていないシンプルなワケ
アラフィフ以上の人たちには印象的だった特撮ヒーロー『赤影』。しかしアラサー以下の人たちにはその魅力が伝わっていないようです。どうして『赤影』の人気にこれほどの世代間ギャップが生まれたのでしょうか。
『赤影』の魅力を伝え続けた再放送文化
近年、かつての人気作がリメイクされることが多くなりました。しかし、逆に何度かリメイクされたながらも、最近ではあまり話題にならない作品も少なくありません。そのなかでも個人的に、近年では特撮ヒーロー作品『仮面の忍者 赤影』の話題が少ないことが気になっています。
もともと『赤影』は、1966年に『飛騨の赤影』というタイトルのマンガとして世に出ました。掲載雑誌は「週刊少年サンデー」(小学館)で、忍者マンガの大家である横山光輝先生の手によって週刊連載されています。このため、人気絶好調だった『伊賀の影丸』は連載を終了しました。
実はこれは、横山先生が東映からTV番組の原作を依頼されたことがきっかけだったのです。そして1967年のTV放映を機に、原作マンガの『飛騨の赤影』のタイトルも、TVと同じく『仮面の忍者 赤影』に改められました。
『赤影』はスポンサーである三洋電機がカラーテレビを売るという戦略のもと制作された作品です。そのため、主人公一行が「赤影」「青影」「白影」といったように「色」を強調したキャラクターとなりました。この「色別ヒーロー集団」というコンセプトは、後の集団ヒーロー作品群に大きな影響を与えます。
そして、このカラー作品で制作されたことが『赤影』の知名度を上げる要因となりました。その理由が「再放送」です。当時のTV作品はまだ白黒のものが少なくなく、『赤影』は『マグマ大使』『ウルトラマン』に次ぐ3番目のカラーTV特撮作品でした。
1970年代に入ると白黒作品の再放送は減少しましたが、カラー作品は1980年代になっても全国的に再放送された経緯があります。特に『赤影』は人気作品だったことから再放送の回数も多く、筆者も何度も視聴した経験がありました。
この再放送という形態が『赤影』の人気と知名度を支えた要因です。長く繰り返された再放送でリアルタイム以降に生まれた層にも知れ渡るようになり、幅広い視聴者層を生み出しました。おそらくアラフィフ以上の人は、何度も『赤影』の再放送を観た経験があるのではないでしょうか。
この再放送文化ともいうべき土壌によって、『赤影』は世代を超えたヒーローとなりました。その知名度と人気は、当時の「ウルトラ」シリーズや「ライダー」シリーズと肩を並べるものだったかもしれません。
そして、この知名度と人気の後支えもあって、『赤影』は何度かリメイクされることになります。