3DS「すれちがい通信」まだすれちがえる? 全盛期だったあのころと2025年4月の現状
ゲーム機をかばんに入れて出かけると、誰かのアバターが遊びに来てくれる、程よい距離感で仲間とのつながりを感じられ、さらには歩いた歩数で健康も意識できる……先進的なサービスがニンテンドー3DSにありました。
「すれちがい通信」はいまも生きている

任天堂のゲーム機である「ニンテンドー3DS」(以下、3DS)と「Wii U」のオンラインサービスが、2024年4月9日に終了してから1年あまりが経ちました。しかし、3DSを持った人どうしがすれ違うだけでやり取りできる「すれちがい通信」は、いまも生きています。
すれちがい通信が成立すると、相手のアバター「Mii」が3DSに訪れ、自分のMiiも相手の3DSにお邪魔します。来訪時のメッセージからは相手の人となりが分かり、友達が遊びに来たような楽しさがありました。
秋葉原のような電気街では個性的なMiiが千客万来の賑わいでしたし、観光地や空港では外国の人のMiiがやってくることもありました。あくまで間接的なやり取りなので、ほどよい距離感で安全につながりを感じられるのも特筆すべき点です。
当時、任天堂の代表取締役社長だった岩田聡氏や、タレントの松岡修造さんといった有名人のMiiが公式配信されてもいます。
さらに、歩いた歩数に応じて「ゲームコイン」をもらえ、対応ゲームで使うこともできると至れり尽くせりのサービスが用意されていたのです。
Miiたちは『すれちがい伝説』や『すれちがいシューティング』といったゲームに登場し、仲間として攻略を助けてくれました。Miiは着ている服の色で性能が変わるため、筆者はすれ違う人の役に立ちたくて服の色を定期的に変えていたものでした。
「いきものづくり クリエイトーイ」シリーズは、図形を組み合わせて「いきもの」を作ります。すれちがい通信では「いきもの」もやりとりでき、クオリティの高い美少女や版権キャラクターに驚かされたのも良い思い出です。
外出先でゲームを遊ぶことまではしないものの、すれちがい通信が楽しみで3DSを持ち歩いていた人は多いでしょう。3DSのおかげで、外出することがより楽しくなりましたし、歩数と健康を意識するようになりました。まさに生活に溶け込むゲーム機だったのです。
2025年4月中旬、筆者は久々に3DSの電源を入れ、東京都内や埼玉県内各所を1週間ばかり持ち歩いてみました。全盛期には次々と「すれちがい」できた繁華街も歩き回ってみましたが、残念ながら通信は成立せず、ひとつの時代の終わりを改めて実感しました。
もはやすれちがい通信が復活する目はないのでしょうか。筆者としては、Nintendo Switch2で復活してほしいと切に願っています。
(箭本進一)