あいつぐ無断転載に「やるせない思い」 業界人も重宝する「アニメ@wiki」有料化決断の背景【管理人に聞く】
日本最大級のアニメ関係者データベース「アニメ@wiki」の管理人にインタビューしました。2025年6月1日からの有料化の背景には、どんな思いがあったのでしょうか。
17年、1人で作り上げた巨大データベース

スタッフ情報を気にするようなアニメファンなら、「アニメ@wiki」というサイトを一度は訪れたことがあるでしょう。アニメスタッフごとに担当作品や担当話数などがまとめられたサイトです。2025年6月1日からのサイト有料化に大きな反響があったものの、それ以上に巨大で有用な「アニメ@wiki」を17年間たったひとりで更新し続けていたことへの驚きの声も見られました。
管理人のケンジさんは地方在住で、『新世紀エヴァンゲリオン」からアニメの制作者に興味を持ち始めた男性です。そんなどこにでもいそうなアニメファンが、登録作品数6500本以上、登録アニメ関係者3万6000人以上という巨大なデータベースを構築した17年の歩みと苦悩を聞いてみました。
●始まりは「つらい時期」からの脱却
2008年にスタートした「アニメ@wiki」。当時のケンジさんは「つらいことがあって布団から全然動けなくなり、ただ天井を見るだけの毎日だった」そうです。
「持病もあり希望が持てない日々でしたが、そのまま何もせず死んでしまうよりは『常識を変えられる何か』をしてみたいという思いで始めました。と言っても大きな信念などがあったわけではなく、その頃に好きで見ていた『作画@wiki』や『Wikipedia』の特色を掛け合わせれば、さらにいいサイトを作れるのでは、と思っていた程度ですけど。
最初は『エヴァ』や『少女革命ウテナ』『カウボーイビバップ』みたいな自分が好きで観ている作品からデータの登録を始めました。でも2年目に『自分の観ている範囲だけで済ませようとしていることこそ失礼ではないか』という気持ちが芽生え、本編(ストーリー)の視聴の有無に関わらずオープニング・エンディングのクレジットを確認して編集するようになって。現在のように放送中のアニメを、自分が観測できる範囲ですべて追いかけるようになったのはここ4、5年くらいのことです。
今は基本的にHDDレコーダーに録画したものをベースに、配信サイトも使いつつTVの画面をスマートフォンで撮影して、それを見ながらタイピングしています。毎日150人以上、多いときは倍くらい。地道な作業ですが、クリエイター様の名前を扱っているので絶対に間違えてはいけない。なのでできるだけヒューマンエラーを起こさないよう入力作業に入る前にもすごく時間をかけています。ただ放送元のクレジット自体が間違っているときもあり、公式側からの訂正告知に気付けないこともあり難しいです。」

