「コネで買えるんでしょ?」スイッチ2を巡る誤解とゲームライターの“切ない現実“
多少なりとも業界に関わっていれば、なんらかの恩恵があるはず。そう考えるのも個人の自由ですが、果たしてそれは事実なのか。いちゲームライターの視点から、スイッチ2入手の実感をお伝えします。
関係者なら恩恵がある?

任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」(以下、スイッチ2)が2025年6月5日に発売され、もうじき1ヶ月が経とうとしています。
スイッチ2は発売前から人気が高く、任天堂の公式ストア「マイニンテンドーストア」をはじめ、各取り扱い店でも抽選販売を実施する事態となりました。運に恵まれなければスイッチ2は手に入らない。そんな状態が7月に入ったいまもなお続いています。
一般ユーザーにとって、スイッチ2の入手は運に大きく左右される形となりました。では、日頃ゲーム業界に携わっているライターは、どのような状況だったのでしょうか。あくまで一例ですが、普段は知られにくいゲームライターの実情をお伝えします。
●「ゲームライターは、スイッチ2の入手も楽勝?」という噂の真相とは
ライターとしてゲーム業界携わっていると、周囲の一般人から比較的聞かれやすい質問がいくつかあります。「発売前のゲームを遊べるの?」「ゲームとかもらえるんでしょ?」あたりがポピュラーながら、ここ1か月ほどは「コネでスイッチ2を優遇してもらえそう」「優先してスイッチ2買えたんでしょ?」といった投げかけや雑談が増えました。
業界にいれば、優遇されたり得をするはず。そうした憶測や想像は、ゲーム業界に限らずあらゆる業界に向けられるものでしょう。その想像が社会全体でどの程度事実なのかは分かりませんが、あくまでいちライターの実感として、スイッチ2にまつわる優遇についてお話します。
単刀直入にいえば、「ゲームライターだから、スイッチ2をコネでもらえたり、優先して買える……というのは、ほぼありません」というのが率直な返答です。個人的に聞かれた際にも、同じ内容を答えています。
もしかしたら、超一流の有能ライターなどには優遇措置があったのかもしれませんが、この「かもしれません」はあったことを暗に示すものではなく、「ないことを証明する手段がない」という意味に過ぎません。少なくとも自分が知る限り、周囲のライターが抽選販売以外で手に入れたという話は皆無でした。
●当たりやすかったライターの傾向や状況は?
ライター陣の入手結果もまちまちで、運よく手に入れた人もいれば、いまだに入手できていない人もいます。強いて傾向を上げるなら、「マイニンテンドーストア」で多言語版の抽選に参加した人と、日本語・国内専用版に申し込んだ人を比べると、体感ですが前者の方が当選しやすい印象を受けました。
ただし、多言語版の方が当たりやすいのでは、といった噂は一般ユーザーの間にも広まっています。また、ライターのなかには海外在住や国外版のタイトルを遊ぶ人もおり、その関係で多言語版に申し込む割合が一般ユーザーよりも多いという一面もあります。
こうした事情から、ライター間における多言語版の当選が少々目立つ結果になったのかもしれません。もちろん、多言語版に申し込んで外れた人もいるため、鉄板の必勝法というわけではなさそうです。
●ライターどころか、ゲーム開発陣も人気機器の入手に難儀
スイッチ2を譲渡されたり、販売時に優遇措置を受けて購入したゲームライターが、完全に0かどうかまでは断言できません。しかし、限りなく0に近い、というのがいちライターとしての実感です。
これはスイッチ2に限らず、2020年のPlayStation 5、2016年のPlayStation VRなど、近年の人気機器でも同様です。PlayStation VRについては、発売前から専用ソフトを開発していた大手メーカーのプロジェクトリーダーですら予約すらできずに嘆いていた、といった話も聞こえてきたほどです。
メーカー主導の試遊会などで発売前のゲームに触れる機会などはあるため、職業的な恩恵がまったくないとは言いません(それも、記事を書くための仕事に過ぎませんが)。しかし、人気ゲーム機や機器の入手・購入となると、ほぼ都市伝説といっても過言ではないほどです。
余談になりますが、この記事を書いている筆者も、落選続きで未だ入手できておらず。仕事にも差し障りがあるため、非常に困っております。7月こそ、スイッチ2の当選通知が届きますように!
(臥待)