次の劇場版『ワンピース』でルフィは登場しない可能性 近年の傾向で「ロジャー編」へ期待高まる
かつて「週刊少年ジャンプ」(集英社)発のアニメが映画化される際は、原作にはないオリジナルエピソードを上映するのが一般的でしたが、近年の話題作は、原作エピソードが採用される傾向にあります。この流れを受け、ネット上では劇場版『ONE PIECE』の次回作に大きな注目が集まっているようです。
オリジナル路線か、原作重視か

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の大ヒットを受け、アニメシリーズの映画化は「原作エピソードにするべき」という議論が白熱しています。そんななか、ファンの間で密かに注目を集めているのが劇場版『ONE PIECE(ワンピース)』の次回作です。
これまで本シリーズの劇場版は基本的にオリジナルエピソードを描いてきましたが、昨今の流れを受けて、次回作の「サプライズ」に期待が高まっています。
『鬼滅の刃』は劇場版第1作目が「無限列車編」、現在公開中の第2作目が「無限城編」と、いずれも原作エピソードを描いて大ヒットを記録しました。最近は他作品もその流れに乗る傾向にあり、2025年9月19日(金)に公開された劇場版『チェンソーマン レゼ篇』も、描かれるのは原作エピソードです。2026年1月からはTVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」の放送が始まりますが、同作も最終章は劇場版になるのでは、と予想されています。
ちなみに、ここでいう「原作エピソード映画化」は、TVアニメ版未放送の段階での原作エピソードの映画化を指します。改めてなぜ、原作エピソードの映画化はこれまで一般的でなかったのでしょうか。
やはり最大の要因は、TVアニメシリーズの長期放送にあったと考えられます。『ONE PIECE』をはじめ『ドラゴンボール』『BLEACH』『NARUTO ーナルトー』などは、クールをまたいで長くTVアニメが放送されてきました。そういった作品で原作エピソードを映画化してしまうのは、TVアニメ版の視聴者離れにも繋がりかねません。
対して最近は長期連載でもTVアニメは1クール、長くても2クールでひと区切りする作品がほとんどです。合間で原作エピソードを映画化しても、無理のないスケジュールが立てられるのでしょう。また『鬼滅の刃』『呪術廻戦』は完結済み、『チェンソーマン』も第一部は完結済みのため、どこをTVでやり、どこを映画化するかなどの調整がしやすいといった面もあるのだと思われます。
これらを踏まえると、やはり『ONE PIECE』が普通に原作エピソードを映画化するのは難しいかもしれません。そもそも作者の尾田栄一郎先生は、コミックス109巻の質問コーナーで「だいたいの映画はムリヤリでも組み込む事はできるんですけど、そうすると映画を観る事が義務になってしまうので、あまり原作とつなげる事はありません」と、原作エピソードの映画化について慎重な姿勢を示しています。
しかし過去の劇場版『ONE PIECE』には、いろいろなところに小さな驚きが隠されていました。例えば「カラクリ城のメカ巨兵」では、主人公ルフィがどうやって「ギア2」を編み出したかの謎が描かれています。
他にも「STRONG WORLD」では、のちに原作にも登場する「金獅子のシキ」を取り上げ、「FILM RED」ではシャンクスの隠された謎に迫っていきました。見なくても問題はないものの、見れば本編をより一層楽しむことができるような構成になっているのです。
そして昨今の流れからすれば、次回の劇場版『ONE PIECE』は原作エピソードを描くことはなくとも、これまで以上に衝撃的な内容となる可能性が高いのではないでしょうか。ファンの間では、前作が「シャンクス」にスポットが当てられていたため、次回作は海賊王「ゴール・D・ロジャー」にスポットが当てられるのではないかという予想が飛び交っています。
ともすれば、原作と無理につなげる必要のない「ロジャーの過去編」がもっとも妥当かもしれません。ロジャーがどのように海賊王へと至ったのかは、これまで断片的にしか描かれておらず、長らく注目されてきた部分です。さらに過去のエピソードや散りばめられた伏線を再構成するかたちで映画化すれば、本編をより深く味わえるでしょう。
物語がクライマックスに向けて加速するいまだからこそ、海賊王をテーマにした作品が制作されても不思議ではありません。果たして次回作ではどのような物語を描くのか、ファンの期待は高まるばかりです。
(ハララ書房)
