「夢オチ」と言われがちな『ハイスクール!奇面組』最終回 実は作者には“別の意図”があった?
アニメのリメイクが決定した『ハイスクール!奇面組』ですが、原作の最終回は「夢オチ」といわれがちです。しかし、作者はそれについて「心外」と語っていました。いったい、どんな内容だったのでしょう?
「『夢オチ』と言われるのは心外です」

1980年代に大人気を博したアニメ『ハイスクール!奇面組』(以下、『奇面組』)のリメイク版が2026年1月より放送開始されることが発表されて大きな話題を呼びました。
※この記事には『ハイスクール!奇面組』最終回の内容に触れています。ネタバレにご注意ください。
それに伴って、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されていた新沢基栄先生による原作マンガも注目を集めており、なかでも特に話題になるのが「伝説」「衝撃」「騒動」とも言われる「夢オチ」だった最終回です。しかし、本当に「夢オチ」だったのでしょうか? あらためて振り返ってみましょう。
最終回のタイトルは「さらば奇面組の巻」です。冒頭は前回の「唯ちゃんの気持ち…の巻」から続く形で、「一堂零」が難病だと思い込んでいた「河川唯」の誤解が解けるところから始まります。
そして高校卒業してから5年後、短大を卒業した唯は保母になり、奇面組の「出瀬潔」、「大間仁」、「冷越豪」、「物星大」もそれぞれ社会人になっていました。朝、出勤する唯のもとへ自転車で現れた零は、唯を乗せて走り出します。風に吹かれて目をつむる唯。すると「宇留千絵」の呼ぶ声が聞こえてきました。
唯が目をあけると、そこは一応中学2年10組の教室でした。千絵が「あんた夢でも見ていたんじゃない」と声をかけると、唯は「零さんたちは…一応高のみんなは…あれは みんな わたしの空想だったの?」と戸惑いますが、「そうかァ」と腑に落ちたような表情を見せて千絵をトイレに誘います。ラストは唯のモノローグです。
「『奇面組』はただの空想だったのかもしれない でも わたしは信じたい 彼らはきっといるとーー」「ほら! 今にもあのかどからみんながかけてくるような気がするでしょ」。こうして「完」の文字とともに『奇面組』はエンディングを迎えました。
唯が中学に戻るところ、「夢」「空想」という言葉が出てくるところ、最後に奇面組が登場しないところなどから、これまでのエピソードがすべて唯の夢だったという「夢オチ」だと思った読者が多かったようです。しかし、新沢先生は後のインタビューで「『夢オチ』と言われるのは心外なんですよ」と明確に否定し、最終回の意図を次のように語っています。