マグミクス | manga * anime * game

まさかの理由で“覇権”を逃した名作アニメ 「時期さえ違っていたら」「本当にもったいない」

「覇権アニメ」とは、同じクールに放送された作品のなかで、もっとも人気と話題性を集めた作品のことを指します。本来ならその座を狙える実力だったのにもかかわらず、ちょっとした理由によって覇権を逃してしまったアニメも少なくありません。

ひとつ違えば「覇権」だった“惜しまれる名作”

画像は『サマータイムレンダ』第2弾キービジュアル (C)田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会
画像は『サマータイムレンダ』第2弾キービジュアル (C)田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会

 凝ったストーリーや美しい作画などが評価され、「神アニメ」と呼ばれた傑作はいくつもあります。しかし作品の完成度が高くても、必ずしもシーズントップの人気作になれるとは限りません。この記事では、思わぬ理由によって「覇権」を逃してしまった名作アニメを振り返ります。

 新型コロナウイルスが猛威を奮った頃、アニメ業界も甚大な影響を受けました。十分な制作時間を確保できず、多くの作品が放送中止や延期を余儀なくされたのです。そのあおりを受け、「覇権を逃した」と惜しまれたのが『異世界おじさん』でした。

 本作は、異世界転移を経て17年ぶりに現実世界へ戻ってきた「おじさん(CV:子安武人)」の物語です。長く異世界で暮らしていたおじさんが見せるジェネレーションギャップや、あふれんばかりのSEGA愛がコミカルに表現されており、「異世界もの」のお約束を逆手にとったギャグコメディが大きな話題を呼びました。

 しかし、当時の新型コロナウイルス感染拡大の影響は深刻でした。もともと『異世界おじさん』は7月スタートの夏アニメでしたが、制作が間に合わず、第8話以降の放送が一時中断されます。次シーズンの10月に第1話から再スタートしたものの、最終話直前で再び放送延期となり、結局最終話は翌年の3月に持ち越されました。

 ネット上では「かなり面白かったのにコロナのせいで覇権逃した」「夏に問題なく放送されていたら覇権だったでしょ」「制作が止まってしまったのが本当にもったいない」などと、いまもなお残念がる声が多く見られます。

 覇権を逃す理由のひとつとして、近年は「独占配信」も挙げられているようです。動画配信サービスが充実した結果、特定のアプリで独占配信されるアニメが増え、その分だけ口コミが広がりにくくなったことが影響しているのかもしれません。

 タイムリープを繰り返し、「影」とよばれる怪異と戦うSFサスペンスアニメ『サマータイムレンダ』は、先の読めない展開と、頭脳戦を交えたバトル描写が高い評価を得ました。

 しかし放送当時は「Disney+」での独占配信だったため、作品そのものの完成度に対して話題性が伸び悩んだ印象があります。のちに各配信サービスでの配信が解禁されると、多くの視聴者がその面白さに気付き、瞬く間に人気が広がりました。

 なお当時の覇権アニメとして名前が挙がっていたのは、『SPY×FAMILY』(第1期)と『パリピ孔明』です。もし『サマータイムレンダ』が同じ土俵で競っていたとしたら、勢力図は変わっていたかもしれません。

 一方で、豪華制作陣が集結し、高い完成度を誇りながらも、思わぬダークホースに押し切られてしまった例があります。『Engage Kiss』です。

 本作は『冴えない彼女の育てかた』の原作者として知られるライトノベル作家の丸戸史明さんと、人気イラストレーターのつなこさん、そしてアニメーション制作の大手「A-1 Pictures」がタッグを組んだオリジナルアニメです。ヒモ気質の主人公をめぐる三角ラブコメディの体裁をとりつつ、濃厚なドラマと深いシナリオを併せ持つ点が高く評価されました。

 第1話・第2話の先行上映会でも「作画がエグい」「ストーリーもめちゃくちゃおもしろい」などと絶賛され、覇権候補のひとつに数えられていましたが、実際は同じA-1 Picturesが手がけたオリジナルアニメ『リコリス・リコイル』が話題を独占します。ネット上には「『リコリコ』がなければ覇権だった」「時期さえ違っていたら……」といった声が少なくありません。

 ちなみに、先述した『異世界おじさん』も同シーズンのアニメでした。名作がひしめくラインナップのなかで、ひときわ存在感を放った『リコリス・リコイル』の強さを改めて思い知らされます。

(ハララ書房)

【画像】え、服着てんのに「口ほくろが…」「色気凄い」 こちらが『サマータイムレンダ』の美女です(4枚)

画像ギャラリー

ハララ書房

エンタメ記事専門の編集プロダクション。漫画・アニメ・ゲームはもちろん、映画やドラマ、声優にも精通。メイン・サブを問わず、カルチャーの最前線を追いかけていきます。