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25年前の『ガンダムX』視聴を薦めたい理由 放送短縮の憂き目に遭うも、見事な完成度

1996年12月28日は『機動新世紀ガンダムX』の最終回が放送された日です。「宇宙世紀」以外の作品で人類の革新「ニュータイプ」について取り組んだ数少ない作品ですが、さまざまな事情から放送時間の変更や放送期間の短縮などが行われた不遇な作品です。しかしその内容は堅実な面白さで組み上げられ、ファンからは高い評価を得ています。

『GX』は面白い。当時からその思いは変わらない

1996年放送の『機動新世紀ガンダムX』は、人類のほとんどが失われる戦争が終わった「A.W.(アフターウォー)」の世界が舞台。画像は『機動新世紀ガンダムX』DVD1巻(バンダイビジュアル)
1996年放送の『機動新世紀ガンダムX』は、人類のほとんどが失われる戦争が終わった「A.W.(アフターウォー)」の世界が舞台。画像は『機動新世紀ガンダムX』DVD1巻(バンダイビジュアル)

 今からちょうど25年前の1996年12月28日は、『機動新世紀ガンダムX』の最終回が放送された日です。本作は1993年から放送開始された『機動戦士Vガンダム』『機動武闘伝Gガンダム』『新機動戦記ガンダムW』に続いてTVで放送された、1990年代半ばを飾るガンダムシリーズの最終作として、人類の革新「ニュータイプ」に新たな解釈をもたらしました。

 しかし関東圏では放送途中から放送が早朝枠に移動され、放送期間も当初予定の4クールから3クールへと短縮されたことでも知られています。

『ガンダムX』の放送開始直前、筆者を含むガンダムのファンは、「次のガンダムはどのような作品なのだろう」と興味深く見守っていました。同じ時間枠で放送され、ガンダムに新機軸をもたらした『機動武闘伝Gガンダム』のインパクトと、多くの女性ファンを獲得した『新機動戦記ガンダムW』のエネルギーは絶大で、新作である『ガンダムX』は次に何をもたらしてくれるのかと、大きな期待がかかっていたのです。

 そうして放送された作品は、戦争により荒廃した世界、今でいうポスト・アプカリプス作品として、独特な世界観で展開されるロードムービーでした。

 崩壊した世界をたくましく生きる主人公のガロード・ランと、人類に残された唯一のニュータイプとされるティファ・ディールの心の交流。そして地上戦艦フリーデンのクルーたちが織り成す人間模様。ふたつの流れを軸として展開されるストーリーは、一見地味ではあるものの決して他の作品に劣るところはありませんでした。

 また、ROMANTIC MODEが歌い上げた初期オープニングの「DREAMS」、後期オープニングの「Resolution」は、ともに名曲として知られています。特に「DREAMS」は当時50万枚以上のシングルCDを売り上げるほどの人気を誇りました。

 エンディングに関しては次回予告とエンディングテーマが同時に流れるという独特の演出が取り入れられました。1話から13話、最終回は「HUMAN TOUCH」。14話から26話は「HUMAN TOUCH(日本語版)」。27話から38話までは「銀色Horizon」と、いずれもしっとりとした印象の名曲に合わせてナレーションが入り、最後に次回タイトルがセリフとして語られる、非常に印象的なものでした。

 特に、キャッチコピーにも使われた「月は出ているか?」、第3話の「私の愛馬は狂暴です」、第7話の「ガンダム、売るよ!」などは、次回のストーリーに強い期待を抱かせるインパクトを与えていました。

【画像】『ガンダムX』で印象的だった「ゲテモノガンダム」「サテライトキャノン」(5枚)

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