ゲームの「隠しコマンド」最近見なくなった理由 「そもそも何のためにあった」?
今では殆ど聞かなくなった「隠しコマンド」。ゲームのプレイを楽にしてくれたり、オマケを見せて楽しませてくれたものですが、そもそも何のためにあったのでしょうか? そしてなぜ最近は見なくなってしまったのでしょうか? そこにはコンピューターゲームの歴史が関係しています。
ゲーム開発に必要な機能だった?

「隠しコマンド」とは、特に1980年代のファミリーコンピューター時代に多く見られた、「制作者がゲーム内にこっそり隠して入れていたコマンド」のことです。恐らく最も有名なのは「コナミコマンド」で、「上上下下左右左右BA」というもの。
初出はファミコン版「グラディウス」(1986年)で、ゲームを一時停止しコントローラーからコマンドを入力すると、バリアーなどが最初から装備された状態になりステージ攻略が楽になるというものでした。これはバグ(開発ミス)を利用したいわゆる「バグ技」とは違います。それらを一緒に語る場合は「裏技」と言ったりしますね。
「隠しコマンド」を入れて起きる現象で比較的多いのは、プレイヤーがパワーアップしたり無敵になったりするものです。次いでコンティニュー、ステージセレクト。なかにはオマケ要素が見られるというものもありましたが、基本的にはゲーム進行に関わるものです。ここでピンと来た方もいると思いますが、この「隠しコマンド」、もともとは開発者がゲームのデバッグ(チェック)をするためのものだったと言われています。
当時のコンピューターゲームには、途中経過を保存するという概念がほぼありませんでした。その理由は「ゲーム」に対する世の中の認識です。例えばトランプで遊んでいたとして、別の用事が入ったら途中でも片付けてしまいますよね? わざわざ途中経過をメモして後で続きから遊ぶ……といったケースは少ないはずです。コンピューターゲームへの認識も同じようなものだったのです。
あとは機器の性能面での都合もあります。バックアップはもちろんパスワード機能ですら、実装は大変でした。しかしこれだと開発者は困ります。隅から隅までプレイしてミスを探さなければいけないのに、ゲームオーバーになったら最初からやり直しでは、最終面のチェックをするのが大変すぎます。
もしくは、「今は敵の動きをチェックしたい」というときに、やられないように避けまくっていては集中できません。そこで普通の人には必要がないコンティニューや無敵機能が求められ、それを消し忘れてゲームを出荷したことが「隠しコマンド」の始まりと言われています。これって、厳密に言えば「バグ」が残ってしまった状態ですね……。
しかしここで疑問が出ます。元々消すつもりだったならもっと簡単なコマンドでいいじゃないか、複雑なのはいかにも仕込んである感じで怪しい! と。……いえいえ、そうではないのです。