何でもアリの平成仮面ライダー その根底に「不変の設定」と石ノ森章太郎の「魂」?
2000年から2019年の現在まで続く“平成仮面ライダーシリーズ”は、原作者である石ノ森章太郎先生が亡くなってから始まったものです。多彩で斬新なデザインや「何でもあり」に見える作風は、昭和の仮面ライダー像とは大きく異なるものですが、実は平成ライダーたちも石ノ森先生の精神をしっかりと受け継いでいます。
もはや「何でもあり?」な平成ライダーたち
2000年の『仮面ライダークウガ』から現在放送中の『仮面ライダージオウ』までの平成仮面ライダーシリーズ20作品は、原作者である石ノ森章太郎先生が1998年に亡くなった後に始まっています。それでも、原作者の手を離れても、20作品にわたって受け継がれている石ノ森先生の精神があるのです。
仮面ライダーのイメージとして挙げられるものは、昆虫をモチーフとし、複眼と触角とクラッシャーと呼ばれる牙を有したデザイン、そしてバイクを駆る改造人間……という設定でしょうか。いま挙げたのは仮面ライダー1号と2号の特徴ですが、これら全てを満たしている平成ライダーは存在しません。
平成ライダーたちは改造人間でもなければ、昆虫がデザインのモチーフではないものがほとんどです。現在放送中の『ジオウ』は時計がモチーフですし、『仮面ライダー鎧武』はフルーツと鎧がモチーフです。
さらには、電車に乗る『仮面ライダー電王』や車を運転する『仮面ライダードライブ』、複眼のない『仮面ライダー響鬼』や『仮面ライダーエグゼイド』といった作品も登場しました。
SNSなどでは「何でもあり」とすら言われているように、平成ライダーたちは毎年新作が発表されるたびに、その設定やデザインをめぐってファンの間で議論が起こっています。
しかし、石ノ森先生自身の手によって、従来のイメージとは違う仮面ライダーのデザイン画がいくつも描かれています。カタツムリをモチーフとしたものや、左右の側頭部からチューブが伸びている『仮面ライダーX』のデザイン案、後頭部が毛で覆われている『仮面ライダーアマゾン』のラフデザイン、さらには上半身に仮面ライダーの顔が配されたデザイン案も存在しています。