不憫すぎる『帰ってきたウルトラマン』の伝説 かつては「帰マン」と呼ばれ…
世代を超えて愛され続ける特撮ドラマ「ウルトラマン」シリーズのなかでも、1971年〜72年にテレビ放映された『帰ってきたウルトラマン』は、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』に続く第3弾として知られていますが、非常に人気の高い前2作の影に隠れ気味の存在です。「新マン」「帰マン」の略称で呼ばれた『帰ってきたウルトラマン』の、思わず判官びいきしたくなる魅力を振り返ります。
ウルトラ兄弟で唯一、名前がなかった
怪獣王ゴジラを現代に甦らせた大ヒット作『シン・ゴジラ』(16年)の庵野秀明(企画・脚本)&樋口真嗣監督コンビによる新作映画『シン・ウルトラマン』が2021年に劇場公開されることが発表されました。斎藤工、長澤まさみ、西島秀俊ら人気キャストが名前を連ねていることもさることながら、特撮シーンに並々ならぬこだわりを持つ庵野&樋口コンビだけに、アップデートされたウルトラマンがどんな活躍を見せるのか興味津々です。
円谷プロの公式サイト「円谷ステーション」でも、2019年8月1日に『シン・ウルトラマン』について触れています。それによると「昭和41年(1966年)に放送された「ウルトラマン」を『シン・ウルトラマン』として映画化することが決定しました。」とあります。
これを読んで「えっ?」と思った方もいるのではないでしょうか。以前からアナウンスされていた『シン・ウルトラマン』というタイトルから、てっきり『新ウルトラマン』=『帰ってきたウルトラマン』がリメイクされると思っていた人も、少数派ながらいると思われます。
「新マン」「帰マン」の略称で知られる『帰ってきたウルトラマン』は、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』に続くウルトラヒーローとして、3年間の空白を経て製作されたシリーズ第3作です。しかし、抜群の知名度を誇る「初代」や「セブン」に比べ、かなり不憫なヒーローでもあるのです。
いちばんの不憫さは、名前がなかったことです。タイトルには『帰ってきた』と謳っていますが、久々に地球に現われたウルトラマンは「初代」とはデザインが微妙に異なる別人だったのです。
にもかかわらず、1971年4月〜72年3月のTBSでのテレビ放映時には名前がなく、学年誌などには「新マン」「帰マン」と略称で紹介されていました。スーパーヒーローなのに「帰マン」という呼び方は、どうにかならなかったのでしょうか。後にウルトラ兄弟が集結する設定が一般化してからは、「ウルトラマンジャック」という名前が便宜的につけられたようですが、オンエア時はそれこそ「名前のないヒーロー」だったのです。