韓国でさかんに作られていた、90年代『ストII』映像作品の微妙な「再現度」
格闘ゲームがブームとなった1990年代、カプコンの『ストリートファイターII』は韓国でも大人気で、『ストリートファイターII』から題材をとった映像作品もさかんに作られました。韓国でのブームの痕跡を、さまざまな映像作品から読み解いていきます。
実写作品で特に目につく、「ブランカ」の不自然さ

懐かしの1990年代格闘ゲームといえば、『ストリートファイターII(以下、ストII)』。カプコンから1991年に発売され爆発的人気を誇った対戦格闘ゲームです。韓国でも『ストII』の人気は非常に高く、これを題材とした映像作品がさかんに作られていました。
映像作品で確認できるのは、次の5作品です。『ヤング ストリートファイター』(実写)、『ストリートファイターQ版』(実写)、『メングチャングストリートファイアー』(実写)、『ストリートファイター 街頭争覇戦』(実写)、『通りの無法者』(アニメ)。
『ストリートファイター 街頭争覇戦』は、香港で1990年から発行された人気マンガ『街頭覇王』を実写化したもので、『ストリートファイターII』を元ネタにしています(無版権)。オープニングの映像が強烈で、岩山の上にストリートファイターたちが立って技を繰り出す様子が描かれます。ザンギエフは体の傷がマジックインクで書かれています。
『ヤング ストリートファイター』に至っては、キャストがヤングなのですが、あからさまにガイルやバイソンを子供が演じています。オープニングではリュウやケン、春麗がワイヤーでグルグル回りながら空を飛んでいます。
どの実写作品でも目立つのはブランカです。全身に緑色の絵の具でメイクされ赤いカツラを被った人が演じていますが、ゲームをそのまま実写化する不自然さを象徴している存在です。
『ストリートファイターQ版』は、韓国ロボットアニメ『テコンV』のキム・チョンギが製作しています。『ストII』のキャラクターのコスプレ(ゲームと微妙に違う)をした人たちが暴れまわるという内容です。おそらく、『ストリートファイターIII』のQとは何の関係もないでしょう。
どの実写版も、ゲームに登場しないオリジナルキャラクターが登場していて、非常にややこしいです。