マグミクス | manga * anime * game

韓国でさかんに作られていた、90年代『ストII』映像作品の微妙な「再現度」

勝手にアニメ化された、『通りの無法者』

『ストII』を題材にしたアニメ『通りの無法者』(VHS版ジャケット)
『ストII』を題材にしたアニメ『通りの無法者』(VHS版ジャケット)

『メングチャングストリートファイアー』はストリートファイ“ア”ーと、微妙にタイトルが違っています。韓国コメディアンを主役にした『ストII』っぽいドラマです。監督のワン・リョンは韓国版の『幽遊白書』や『北斗の拳』、『ドラゴンボール』の監督として有名。かつ、韓国版の『聖闘士星矢』や『スラムダンク』の主題歌を歌ったことでも知られる人物です。韓国特撮『ファイティングマン』の監督ですね。

 同作品は、とにかく元ネタのキャラクターに似せるつもりがあまりないという、別の意味で“オリジナリティー”がある作品でした。

 そして、『ストII』は勝手にアニメ化もされていました。しかもギャグ作品として。それが、『通りの無法者』です。

 タイトルに「ストリートファイター」とうたっていないところに、カプコンへの目くばせが感じられます。なのに、DVD化された時にはパッケージに「ストリートファイター」と書かれていたりと、気を遣っているのか遣っていないのかどっちなんだ? と思わせます。

 同作品は韓国の漫画雑誌「少年チャンプ」に連載された『ストリートファイターIII』が原作です。おそらく正規の『ストIII』とは関係なく、数字を足して勝手に続編を作ってしまったものと考えられます。

 核戦争後の世界を舞台に、『ストII』のキャラクターに“よく似た”キャラクターたちが活躍するのです。ただし名前は違っています。核戦争後の世界なのに、最初の戦いがゲームセンターで展開されるなど、「本当に核戦争後の世界なのか?」と疑問に思える設定です。主人公たちは下品なギャグを交えながら戦いますが、基本的に主人公のふたりは弱いです。

 今回は詳しく紹介しませんが、『ストII』だけでなく『龍虎の拳』(SNKから1992年に発売された対戦格闘ゲーム)も韓国で実写化されています。当たり前ですが、演じている人は、全員、韓国の俳優さんです。イタリア人のロバート・ガルシアも韓国人が演じています。同作はキャラクターを元ネタに似せようという努力が見え、誰がどのキャラクターなのか区別がつくため、実写版としては比較的マシな方だという印象です。

 それぞれ、製作の経緯や内容について是非はあるにせよ、1990年代初頭の韓国でも、格闘ゲームは大人気だったことが映像作品からもうかがえるのです。

(かに三匹)

【画像】いったい何がしたかった? 韓国の『ストII』映像化作品たち

画像ギャラリー

1 2