「ウルトラ怪獣」がまだ解決できない四足歩行の「問題?」とは 50年以上前の画期的着ぐるみもあったが
4本足の怪獣の多くは、四足歩行でなく、地面をはうように進む四つんばいのスタイルです。一体、どうしてなのでしょうか。
四足歩行のようで四足歩行じゃない 怪獣独特の歩き方

「ウルトラ怪獣」の着ぐるみは、大きくふたつに分けられます。歩き方が二足歩行か、「四つんばい」かです。
初代『ウルトラマン』の怪獣でいえば、二足歩行が「ベムラー」「レッドキング」「ゴモラ」などで、四つんばいが「ネロンガ」「ケムラー」「グビラ」などでしょう。
さて日本が誇る着ぐるみ特撮において、この四つ足の怪獣には、どうしても生じてしまう「不自然さ」があります。最初から書いていた通り、彼らは怪獣でありながら、赤ちゃんの「ハイハイ」のように四つんばいで移動するのです。生物としては、不自然と言えるでしょう。
ただ、これは仕方がないことでもあります。というのも、人間が四足歩行の怪獣の着ぐるみを演じようとすれば、関節の仕組みが異なるため、どうしても膝が地面について、ハイハイで移動するしかありません。
仮に本気で四足歩行を演じようとするならば、スーツアクターは姿勢を維持するだけでも腰を痛めてしまう可能性もあります。このハイハイの状態は、半ば宿命とも言えるでしょう。
とはいえ、撮影技術の進化は日進月歩です。『帰ってきたウルトラマン』(1971年)の第10話「恐竜爆破指令」に登場した「ステゴン」という怪獣は、後脚の膝が地面についておらず、すっとした四足歩行を実現しているではありませんか。
これは、スーツアクターが無理な姿勢を維持しているわけではありません。前脚部分に高下駄が入っており、後脚を伸ばすことができたのです。なお第4話に登場した「キングザウルス三世」も同様の方法で四足歩行を実現していましたが、ステゴンはさらに機動力が増した造りになっています。
これにて「四つんばい問題」は完全な解決を見たようにも思えましたが……このやり方は、どういうわけか主流として定着するには至りませんでした。これは想像ですが、前脚に高下駄があると、取っ組み合うことが難しく、そうした演技面での制約が影響したのかもしれません。
いずれにせよ、近年でも四つんばい怪獣は生き残っています。例えば『ウルトラマンブレーザー』(2023年)の新規怪獣「ドルゴ」も、そういった怪獣でした。また記事執筆時点での最新作『ウルトラマンオメガ』には、「グビラ」「パゴス」といった、往年の四つんばい怪獣も再登場しています。
怪獣だけど、ハイハイで移動する姿、ここにこそウルトラ怪獣が持つ不思議な愛らしさがあるのかもしれません。また、この後脚に残った不自然さこそが、「着ぐるみ」特撮である証明なのです。
(片野)
