60周年『ウルトラQ』伝説級のトラウマ回 「お金」「管理社会」痛烈に描く
『ウルトラマン』の前身番組となったのが、同じ1966年に放送された特撮ドラマ『ウルトラQ』です。ウルトラマンは登場せず、人間は自分たちの力で怪獣や怪現象に立ち向かいます。社会風刺を込めたエピソードが多く、いま視聴してもかなりショッキングな内容です。現代のクリエイターたちに影響を与えている点も、見逃せません。
平均視聴率30%超えのモンスター番組

「これから30分、あなたの目はあなたの体を離れ、この不思議な時間のなかに入っていくのです」
そんなナレーションで毎回始まった特撮ドラマといえば、円谷プロ制作の『ウルトラQ』(TBS系)です。1966年1月から7月まで、全27話が日曜の夜7時から全国放送されました。
2026年7月は『ウルトラマン』(TBS系)の放送開始60周年ということで、記念番組『ウルトラマンテオ』(テレビ東京系)が7月4日(土)から始まるほか、多彩な企画が準備されています。『ウルトラQ』の成功があったからこそ、『ウルトラマン』も誕生したと言えるでしょう。
最高視聴率36.4%、平均視聴率32.39%という人気を誇った『ウルトラQ』から、いま見直してもインパクトのある傑作エピソードを振り返ります。
守銭奴の少年が珍獣「カネゴン」に変身
大怪獣が現れ、ウルトラマンがやっつけるという分かりやすい展開が『ウルトラマン』にはありました。一方、その前身番組となった『ウルトラQ』には、ウルトラマンや科学特捜隊のような「正義のヒーロー」は存在しません。その分、どんな結末を迎えるのか予測できない面白さがありました。
登場したのは、恐ろしい巨大怪獣だけではありません。第15話「カネゴンの繭(まゆ)」は、等身大のどこか憎めない珍獣をめぐるシュールなブラックコメディでした。
お金集めが趣味の加根田金男という少年が、硬貨の入っている音がする奇妙な繭を見つけ、自宅に持ち帰ります。しばらくすると、金男少年の部屋で繭は巨大化し、金男少年を取り込んでしまいます。
翌朝、金男少年が気がつくと、口がガマグチ状態となっている怪獣「カネゴン」になっていました。胸にはメーターが付いており、お金を食べ続けなければメーターが「0」になり、死んでしまいます。カネゴンがお金を求めて銀行に向かったことから、街は大騒ぎとなるのでした。
この回を撮ったのは中川晴之介監督。30分番組にもかかわらず、撮影には1か月以上を費やしています。「フィルム食いのハルゴン」と呼ばれたそうです。
撮影日数も制作費も潤沢に使っただけあって、「カネゴンの繭」の完成度はとても高いものとなっています。二転三転するストーリーは、最後のカットまで目が離せません。経済至上主義となった現代のほうが、より突き刺さるエピソードでしょう。



