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声変わり直前だった『耳をすませば』の天沢聖司 ←高橋一生「クセ強」キャラの原点だった?

理屈っぽい性格だったり、妙な美意識を持っていたりと、俳優の高橋一生さんが演じるキャラクターはクセが強いことが多いのですが、どこか憎めない魅力があります。そんな高橋さんの出演作を振り返る上で、外せないのがジブリアニメ『耳をすませば』です。クセ強キャラの原点となった『耳すま』から、『岸辺露伴』までを追います。

『耳をすませば』には中学3年時に出演

『耳をすませば』で、天沢聖司が月島雫の「落とし物」を見ているシーン (C)1995 Aoi Hiiragi, Shueisha/Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NH
『耳をすませば』で、天沢聖司が月島雫の「落とし物」を見ているシーン (C)1995 Aoi Hiiragi, Shueisha/Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NH

「お前さぁ、コンクリートロードはやめたほうがいいと思うよ」

 劇場アニメ『耳をすませば』(1995年)で、天沢聖司が月島雫と初めて言葉を交わした際のセリフです。

 初対面の相手から「お前さぁ」呼ばわりされ、雫は「やなやつ、やなやつ」とプリプリになりますが、やがて天沢聖司の思いがけない一面を知ることになります。「ギャップ萌え」ってやつです。

 この天沢聖司を演じた声優は、『耳すま』ファンはご存じでしょうが、人気俳優の高橋一生さんです。当時は中学3年生。声変わりする直前の、まさに「少年」の声でした。

 クセのある役を演じると抜群のうまさを見せる高橋さんは、若手時代には意外な作品にも出演しています。高橋一生さんが俳優としてブレイクするまでの軌跡を探ってみましょう。

一度は落ちたはずのオーディションに呼ばれて

 2026年5月1日(金)の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で放送される『耳すま』に、高橋さんはオーディションで天沢聖司役に選ばれています。中学生ながらバイオリン職人を目指すという「我が道」を突き進むキャラクターです。

 幼少期、内向的な性格だった高橋さんのことを祖母が心配し、いろんな習い事を体験させたそうです。その一環として、高橋さんは児童劇団に入ります。発表会の舞台に立つ高橋さんを観て、祖母が泣いて喜ぶ様子がうれしくて、児童劇団だけは続けたそうです。心優しいおばあちゃんっ子だったようです。

 子役時代の高橋さんは、ビートたけしさん主演映画『ほしをつぐもの』(1990年)などに出演しています。『ほしをつぐもの』では、戦時中に疎開先から逃げ出す子供たちのひとりでした。しかし、児童劇団での表情の稽古などにはなじめず、小学校高学年からは遠ざかっていました。

 児童劇団は辞めたつもりだった高橋さんでしたが、声優のオーディションを受けるよう児童劇団から言われます。それが『耳すま』のオーディションでした。一度はオーディションに落ちた高橋さんですが、「もう一度来てほしい」と呼び出されます。すると、天沢聖司は高橋さん寄りのキャラに変わっていました。高橋さんが天沢聖司を演じることになったのです。

 中学3年で自分の進路を決めかねていた高橋さんですが、完成した『耳すま』が面白かったことから、役者の仕事を続けることを決意します。

 将来の夢や自分に才能があるかどうかで悩む思春期の少年少女を描いた『耳すま』は、高橋さんにとっても人生の転機となった作品だったのです。

【画像】『耳すま』天沢くん声優をつとめた人気俳優、2026年の「激変した姿」を見る(5枚)

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長野辰次

フリーライター。映画、アニメ、小説、マンガなどのレビューや作家インタビューを中心に、「キネマ旬報」「映画秘宝」などに執筆。現在公開中の『八犬伝』(キノフィルムズ配給)の劇場パンフレットなどにもレビューを寄稿している。

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