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『千と千尋』主人公が助かったのは「名前の漢字間違えたから」説は本当? 原画担当が証言「見つけたけど」

『千と千尋の神隠し』の、「千尋は漢字を間違えたから生き残れた」説は本当でしょうか? 絵コンテ、そして元スタッフの証言からその真相に迫ります。

ミスか?演出か? 元ジブリスタッフからも衝撃証言が

『千と千尋の神隠し』静止画より (C)2001 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDDTM
『千と千尋の神隠し』静止画より (C)2001 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDDTM

 宮崎駿監督のスタジオジブリの名作映画『千と千尋の神隠し』は、これまでさまざまな考察、そして「都市伝説」を生んできました。そのなかでもとりわけ有名なのが、主人公「千尋」があの「油屋」の世界で名前を奪われずに生還できたのは、「湯婆婆」との契約の際に名前の漢字を間違えて書いたから、というものがあります。

 みなさんも、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。果たして、その真偽のほどはどうなのか気になるところです。ということで、まずこの説の大前提、つまり「本当に名前を間違えていたのか」を確認する必要があります。

 実際に該当シーンを観てみると……間違えています!たしかに千尋は湯婆婆との契約の際、フルネームの「荻野千尋」の「萩」の「火」の部分を「犬」と書いているではありませんか。

 単なる噂ではなく、実際に間違えているのであれば、演出に違いありません。それこそ、「すでに名前を忘れはじめている」「潜在的に署名を拒否した」などの考察も見受けられます。

 そうなれば、さすがは天才・宮崎駿監督の演出と素直に感動しても良いのですが、これに対しても異論がありました。

 すなわち、この漢字の間違いは意図的な演出ではなく、普通に宮崎監督が間違えただけ、という見方もあるのです。実際絵コンテを見ると、その疑いはますます強まります。

 絵コンテの該当シーンでは、添えられた説明文にも例の犬の誤字があるのです。絵コンテは大勢のスタッフに共有されるもので、宮崎監督は通常、絵コンテにその演出意図、補足説明を適宜、スタッフ向けに書き込んでいます。

 だとすれば、この誤字に対して補足説明がないのは不自然です。やはり宮崎監督のミスを、作画スタッフがそのまま反映してしまった結果なのでしょうか。

 この件に関して、元スタジオジブリのアニメ監督・米林宏昌さんが、2024年1月5日の「金曜ロードショー」にて『千と千尋の神隠し』が放送された際、興味深いコメントを自身のXアカウントに投稿しています。

「名前の漢字が間違ってるのを金曜ロードショーの予告で見つけたけど直されることはなかった。何人も工程があっただろうに誰も気づかなかったんだよね。」

 米林さんは『千と千尋』で、原画を担当した方です。信憑性において、これ以上ない証言と言えるでしょう。さらに、米林さんは続けて

「間違いがわかったあと監督に報告したけど、緊張していて間違えたんだ、と修正されなかった…と記憶している。いくら緊張してても自分の名前間違えるかしら。」

 と、これまた衝撃のコメントを投稿しています。ちゃんと指摘された上で宮崎監督は、あくまで「演出」の立場を通したのです。

 正直なところ、こちらは十中八九、宮崎監督のミスなのでしょう。しかし同時に、創造主・宮崎監督が「いや、あれは緊張によるもの」と発言していたのであれば、それが「公式」設定です。

参考書籍:『千と千尋の神隠し スタジオジブリ絵コンテ全集〈13〉』

(片野)

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片野

構成作家。1960年代カルチャーを好む。これまでに「ウルトラ」シリーズをはじめとする特撮番組、「ドラゴンクエスト」「ポケットモンスター」など国民的RPGシリーズ、ギャグマンガのジャンルで記事を多数執筆。

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