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「私かわいいでしょ みたいな声」にも言及 宮崎駿は本当に「声優嫌い」なのか “引退作”のキャストは

「宮崎駿は声優が嫌い」というのは、本当なのでしょうか? 過去の発言から、その真意を探ります。

『君たちはどう生きるか』の主要キャストは

『君たちはどう生きるか』場面カット (C)2023 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli
『君たちはどう生きるか』場面カット (C)2023 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli

 言わずと知れたスタジオジブリの名監督、宮崎駿氏は「声優嫌い」と、巷ではよく言われています。実際、そう思われても仕方がありません。彼が手がけたアニメ映画には、主演や重要な役どころに、いわゆる「プロの声優」以外(俳優ではない人含む)がキャスティングされることがあまりにも多いからです。

 極め付けは、公開当時は「引退作」と言っていた『風立ちぬ』(2013年)でしょう。自身の集大成とも言える本作の主演に、後輩のアニメーション監督・庵野秀明氏を抜擢しました。いま振り返ってみても、改めて驚愕のキャスティングです。

 とはいえ、実際のところ宮崎監督は、はっきりと「声優嫌い」を公言しているのでしょうか。結論から言えば、当然ながら明言してはいません。ただ、この独特のキャスティングの理由に関しては、たびたび言及しています。

 とりわけ『ジブリの教科書3 となりのトトロ』(文春文庫)にも収録されている、糸井重里氏との対談での発言が、最も示唆的と言えるでしょう。

 この対談において、宮崎監督は『となりのトトロ』のお父さん「草壁タツオ」役に、糸井氏をキャスティングした理由について「ぞんざいなところがいい」と語り、プロの声優の演技に関して以下のように述べています。

「映画は実際時間のないところで作りますから、声優さんの器用さに頼ってるんです。でもやっぱり、どっかで欲求不満になるときがある。存在感のなさみたいなところにね。特に女の子の声なんかみんな、『わたし、かわいいでしょ』みたいな声を出すでしょ。あれがたまらんのですよ」

「存在感のなさ」とは、記号的な演技とも言えるかもしれません。その観点で見れば、プロではない糸井氏が演じた「お父さん」は抑揚こそ欠いていますが、味わい深い演技であったことはたしかです。

 では、「サツキ」を演じた日髙のり子さん、「メイ」を演じた坂本千夏さんの演技は、どう思っていたのでしょうか。ふたりとも日本を代表する声優です。宮崎監督は同対談で、

「サツキの役もメイの役も声がよかったです。不自然な感じがしなかった」

 と、ちゃんと高く評価していました。彼の感覚で「不自然ではない」かどうかが、キャスティング基準であることが、ここからも分かります。

 そして前述の通り、『風立ちぬ』(2013年)では庵野氏の起用にたどり着きました。「声優」どころか「俳優」でもない、演技の素人を主演に抜擢したのです。

「声優が嫌い」どうこうではなく、たとえ棒読みであろうが、演技のプロの「器用さ」が醸す不自然さを避ける、これが宮崎監督流の演出でした。

 さて、現状の引退作である『君たちはどう生きるか』(2023年)の、主要キャストを見てみましょう(以下、キャスト敬称略)。

・眞人:山時聡真(俳優)

・青サギ:菅田将暉(俳優)

・ヒミ:あいみょん(歌手)

・キリコ:柴咲コウ(俳優)

・夏子:木村佳乃(俳優)

・勝一:木村拓哉(俳優)

・ワラワラ:滝沢カレン(モデル)

・インコ大王:國村隼(俳優)

・老ペリカン:小林薫(俳優)

・大伯父:火野正平(俳優)

 主要キャストのなかに、本職の声優はいません。声優嫌いであることは否定できますが、やはり、宮崎監督の演出意図といわゆる「プロの声優の演技」は相性が悪かった、それもまた揺るぎない事実のようです。

(片野)

【画像】あ、「最近よく見る子だ」「イケメン」 コチラが『君たちはどう生きるか』主人公の声を当てたキャスト(現在20歳)の最新姿です

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片野

構成作家。1960年代カルチャーを好む。これまでに「ウルトラ」シリーズをはじめとする特撮番組、「ドラゴンクエスト」「ポケットモンスター」など国民的RPGシリーズ、ギャグマンガのジャンルで記事を多数執筆。

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