「17世紀に絶滅」? 絵コンテに描いてあり『ラピュタ』スタッフが必死に調べたミノノハシ、宮崎監督作の常連だった
『天空の城ラピュタ』に登場する、ネズミとビーバーを合成したような生き物は、一体何者なのでしょうか?
タスマニアの原始哺乳類だと?

公開40周年を迎える『天空の城ラピュタ』は、天空城である「ラピュタ」の構造を含め、実に細やかな設定が定められています。そのなかには、スタッフを惑わせた「謎生物」の存在もありました。
『ラピュタ』制作当時のことです。「色指定(色彩設計の担当者)」の保田道世さんが、ふと作業の手を止めます。
ラピュタに生息する「ミノノハシ」という生き物の、正確な色がいまいち分からないのです。このミノノハシはふわふわした毛に覆われた丸い身体に、赤い目をしていました。そしてビーバーに似た太い尻尾が特徴で、『ラピュタ』では水に飛び込むシーンが印象的に描かれます。
そこで保田さんは演出助手の、須藤典彦さんに、「調べてほしい」と頼みます。頼まれた須藤さんはさっそく、図書館に向かってミノノハシが載っていそうな資料を探しました。しかし、なかなか見つかりません。
何せヒントとなるのは、宮崎監督の描いた絵コンテに記された「17世紀に絶滅。タスマニア島の原始哺乳類」という記述のみなのです。責任感の強い須藤さんは、いくつもの図書館を周り、「絶滅動物」を調べたおします。しかし、一向にミノノハシという生き物の情報にはたどり着けませんでした。
意気消沈し困り果て、とうとう須藤さんは宮崎監督に直接、このミノノハシという動物について尋ねます。そこで明かされたのが、「そんな動物はいない」という衝撃の事実でした。
実はこのミノノハシは、絵物語『シュナの旅』やマンガ『風の谷のナウシカ』にも登場している、宮崎駿作品の常連キャラで、もちろん架空の生物です。
とはいえ、スタッフが全員それを知っていて当然、とされては困ってしまいます。まして絵コンテに「17世紀に絶滅。タスマニア島の原始哺乳類」などと、ありそうな説明を載せられたら、疑いようがありません。
須藤さんが最終的に色指定の保田さんに、この顛末を伝えたかのは不明です。果たして存在しないミノノハシが、どんな色になったのか。それは、『天空の城のラピュタ』本編を観れば明らかです。
参考書籍:『ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ』(文春文庫)
(片野)
