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『めぞん一刻』から40年… ラブコメに驚きの変化が? 時代ごとの主人公が映す「時代の価値観」

『めぞん一刻』のアニメ放送から40年が経ちました。意中の相手に振り向いてもらうため失敗を重ねながら成長した五代裕作。その後のラブコメ主人公を振り返ると、恋愛への向き合い方が驚くほど変化しているようです。

ラブコメ主人公40年の変遷

画像は「めぞん一刻 TV シリーズ スペシャルプライス版」Blu-ray(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント) (C)高橋留美子/小学館
画像は「めぞん一刻 TV シリーズ スペシャルプライス版」Blu-ray(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント) (C)高橋留美子/小学館

 高橋留美子先生の傑作ラブコメ『めぞん一刻』に登場する「五代裕作」といえば、浪人生として「一刻館」で暮らしながら、管理人の「音無響子」に強い思いを寄せる人物です。何度も失敗を経験し、それでも響子を振り向かせるため努力を重ねていきました。こうした姿からは、恋愛とは自ら動いて「勝ち取るもの」という価値観が色濃くうかがえます。

『めぞん一刻』のTV放送から40年。時代ごとの人気ラブコメを振り返ると、主人公の恋愛への向き合い方は驚くほど変化していました。

●追うより、好かれる主人公へ

 まず1990年代後半に差しかかると、「ハーレム系」の原型となるラブコメ作品が登場します。それが、赤松健先生の『ラブひな』です。男子禁制の女子寮を舞台に、管理人の「浦島景太郎」と、そこに住む個性豊かなヒロインたちのにぎやかな日常を描いた作品で、2000年にはTVアニメ化も果たしました。

『めぞん一刻』と決定的に違うのは、主人公がヒロインを追いかけるのではなく、主人公が複数のヒロインから好意を寄せられているという点です。この構図は『ラブひな』を皮切りに、『いちご100%』や『To LOVEる-とらぶる-』などへ受け継がれ、「主人公が追われる」ラブコメが一大ジャンルとして定着しました。

 また、こうした作品群ではヒロインがどれだけ好意を示しても、その気持ちになかなか気付かない「鈍感主人公」が定番のひとつとなっていきます。主人公が簡単にひとりを選ばないことで、複数のヒロインとの関係を長く描ける点も、この手法が広まった理由のひとつだったのかもしれません。

 こうして「恋愛は追いかけるもの」だった時代から、「恋愛に振り回される主人公」が支持される時代へと、ラブコメの定番は少しずつ変化していったのです。

●2010年代に登場した「異質」なラブコメ主人公

 2010年代に入ると、人間関係そのものに慎重なラブコメ主人公が存在感を増しました。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の「比企谷八幡」は、その代表的な存在でしょう。

 八幡は過去のトラウマで人間関係を冷めた目で見ており、周囲と距離を置き続けるキャラクターでした。ヒロインたちに特別な感情を抱いても、その気持ちとなかなか向き合おうとしません。恋を勝ち取ることより、本音を口にしていまの関係を失う方が恐ろしいのです。

 SNSが生活に浸透し、他人からどう見られるかを意識する機会が増えた時代。八幡のように他者との距離感に悩む主人公が支持された背景には、こうした時代の空気もあったのでしょう。

●告白が「ゴール」でないラブコメ時代へ

 そして2010年代後半から現在にかけては、告白や交際開始を物語の終着点としないラブコメが目立つようになります。

 その代表作のひとつが、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』です。当初こそ相手に告白させようと策を巡らすエリートたちのラブコメ作品でしたが、ふたりの関係が大きく前進した後も物語は続き、将来に向き合うふたりの姿まで描かれました。

 一方、2021年にアニメ化された『ホリミヤ』では、物語中盤でメインとなるふたりが交際を始め、その後も恋人として関係を育んでいく様子が描かれます。2026年にアニメ化された『正反対な君と僕』に関しては、第1話で主人公の恋が成就する展開に。その後の関係性を丁寧に描いていく構成も、本作ならではの魅力となっています。

 ラブコメというジャンルが成熟したことで、告白の先にある関係性へと関心が移っていったのかもしれません。

「恋を勝ち取ること」から「関係を育てること」へ――。ラブコメ主人公の変遷をたどると、その時代の価値観の移り変わりまで見えてくるような気がします。

(ハララ書房)

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ハララ書房

エンタメ記事専門の編集プロダクション。漫画・アニメ・ゲームはもちろん、映画やドラマ、声優にも精通。メイン・サブを問わず、カルチャーの最前線を追いかけていきます。

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