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「小栗旬x蒼井優」で復活する『ガス人間』 なぜ「泣ける特撮」は現代によみがえったのか

「泣ける特撮映画」として知られる『ガス人間第1号』が、Netflixでリブートされることが決定しています。小栗旬さん、蒼井優さん、広瀬すずさんら人気キャストを起用し、大きな注目を集めています。オリジナル版『ガス人間』は、どんな作品だったのか? リブートされる理由も含めて考察します。

Netflixによって復活する「泣ける特撮映画」

『ガス人間第1号』DVD(東宝)
『ガス人間第1号』DVD(東宝)

 東宝の特撮映画の名手である本多猪四郎監督の『ガス人間第1号』(1960年)が、Netflixでリブートされます。同じく本多監督の『ゴジラ』(1954年)は、山崎貴監督によって『ゴジラ-1.0』(2023年)として甦り、世界的な大ヒット作となりました。『ガス人間』もグローバル配信されることで、大きな話題を呼びそうです。

 キャストは小栗旬さん、蒼井優さんに加え、広瀬すずさん、林遣都さん、竹野内豊さんの出演も発表されました。ゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)のヨン・サンホ監督がプロデュースし、つげ義春原作の幻想譚『雨の中の慾情』(2024年)の片山慎三監督が起用されています。

 オリジナル版の『ガス人間』は欧米でもヒットしたことが知られています。「泣ける特撮映画」として語り継がれる「ガス人間」とは、いったい何者なのでしょうか?

愛する女性のために犯罪を重ねる怪人

 東宝の人気シリーズ「変身人間」のひとつとして製作された『ガス人間』は、特撮シーンが見どころだった前2作『美女と液体人間』(1958年)と『電送人間』(1960年)に対し、濃厚な人間ドラマとなっています。

 東京都内の銀行が次々と襲撃されますが、犯人は神出鬼没で、岡本警部補(演:三橋達也)らの捜査は難航します。やがて、落ち目だった踊りの家元・藤千代(演:八千草薫)の金回りが急によくなったことが分かり、藤千代は警察で事情聴取されることになります。

 藤千代の無罪を訴えたのは、図書館に勤める水野(演:土屋嘉男)でした。一見すると真面目そうな水野の正体は、自分の体を自在に気化できる「ガス人間」でした。藤千代に新作の発表会を開かせるために、水野は単独で銀行を襲っていたのです。

 水野が資金提供する形で、藤千代の発表会が開かれます。舞台で踊る八千草薫さんの美しさは特筆ものです。愛する女性の舞台を見届けた水野は、幸せの絶頂でした。そして、ふたりは衝撃のクライマックスを迎えます。

 脚本家としてクレジットされている木村武は、『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年)や『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)などの異色作を放った馬淵薫氏のペンネームです。戦時中は共産党員として獄中生活を経験した彼の作品は、モンスターを社会から抑圧された「よるべなき存在」として描いている点に特徴があります。

 ゴジラが水爆実験によって生まれた怪獣であったように、「ガス人間」も、宇宙開発のための人体実験の失敗から生まれたという悲劇性を帯びています。ふわふわと消える「ガス人間」としての実体のなさが、水野の哀しみをより際立てています。

【画像】「えっそんな感じ?」 これが「ガス人間」が気体に変わる瞬間です(5枚)

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長野辰次

フリーライター。映画、アニメ、小説、マンガなどのレビューや作家インタビューを中心に、「キネマ旬報」「映画秘宝」などに執筆。現在公開中の『八犬伝』(キノフィルムズ配給)の劇場パンフレットなどにもレビューを寄稿している。

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