韓国にもあった「感動ノスタルジーアニメ」 青春と映像美の2作品
韓国アニメにも、思春期や青春の思い出を思い起こさせる感動作がありました。「ノスタルジー」の共通点をもつ、『Green Days 大切な日の夢』と『マリといた夏』の2作品について紹介します。
初恋物語の間で、観る者を魅了する幻想シーン

韓国アニメにも、ノスタルジーを感じさせる、劇場アニメの感動作が存在します。今回は、1970年代の韓国を舞台にした『Green Days 大切な日の夢』と、少年の日の思い出を描いた『マリといた夏』の2作品を紹介します。
『Green Days 大切な日の夢』(2012年)は、企画から完成までに11年を費やしたといいます。監督はアン・ジェフンとハン・ヘジン。アン・ジェフンには韓国文学をアニメ化した『そばの花、運のいい日、そして春春』や『にわか雨』といった作品があります。
この『Green Days 大切な日の夢』には、1970年代の韓国を思わせる小道具などが多く登場し、ノスタルジーを刺激します。例えば、昔の映像作品。主人公のイランは映画好きなのですが、映画館で『ある愛の詩』(1970年アメリカの恋愛映画)を見るほか、喫茶店では背景にテレビドラマ『ワンダーウーマン』(1976年~)が流れています。ほかにも、レコード屋さんでは当時のレコードのジャケットが飾られています。
ストーリーは、地方都市で暮らすイランと、ソウルからやって来たスミン、宇宙飛行士にあこがれるチョルスの3人の高校生による青春物語です。大人へ向かう直前の大切な時間が描かれています。
イランとチョルスはお互いに惹かれあい、物語はふたりの恋物語の要素が強くなります。個人的に好きなシーンですが、イランとチョルスのふたりで恐竜の足跡を探しに行くエピソードがあります。そこで恐竜を夢で幻視するシーンは色彩がサイケデリックで、非常に印象に残るシーンです。
色とりどりの恐竜が登場しますが、恐竜の目が優しく描かれています。大人になってから若い頃の「大切な日の夢」が何だったかを思い出しながらこの作品を見て欲しい……そう思わせる出来栄えでした。