韓国にもあった「感動ノスタルジーアニメ」 青春と映像美の2作品
イ・ビョンホンが声をあてた、『マリといた夏』

『マリといた夏』はイ・ソンガン監督による2001年公開の映画で、30億ウォンの予算で作られた作品。2002年アヌシー国際アニメーション映画祭グランプリ受賞作です。俳優のイ・ビョンホンが初の声優にチャレンジした作品でもあります。
イ・ソンガン監督は元々画家だったそうですが、30代半ばから短編アニメを作り始め、同作品が初の長編アニメ映画となります。他の長編には『千年狐ヨウビ』(2007年)や『カイ 鏡の湖の伝説』(2016年)といった作品があります。
監督によれば、『マリといた夏』は30代から40代に向けて作られているといいます。主人公は港町で育ったナム。成長して旧友ジュノと会うことになりますが、ナムは小説を書きつつも忙しくて執筆もままなりません。
それに対してジュノは、夢に向かって外国に旅立つことになっています。そんなジュノから渡されたビー玉。それはかつてジュノにナムが渡したものだったのです。ビー玉をきっかけに、少年だった夏の思い出が描かれ、見る者にノスタルジーを感じさせます。
ソウルに行くジュノとの別れや、父親を亡くし、母親が別の男性とつきあうことになるなど、主人公のナムを悩ませることはたくさんあり、ナムは孤独を抱えています。ある日、世話をしている野良猫のヨーを追いかけて灯台に行ったナムは、不思議な幻想の世界に迷い込みます。
ナムはそこでマリと出会います。マリは女の子なのですが、体じゅう毛むくじゃらの姿。異世界にいる巨大な犬のような生物とデザインを揃えているのかも知れませんが、異様な風体です。
ナムとマリには会話もあまりありません。異世界での思い出は実際にあったのかどうかが微妙にぼやかされています。異世界で出会ったマリは信じたい心が見せた幻なのか、あるいは少年の日の夢の象徴なのかもしれません。
成長したナムはジュノと別れたあと、また異世界に迷い込みます。それはナムが失くした夢を取り戻しつつあることのあらわれなのでしょう。異世界は自然が表情豊かに描かれていて、映像の美しさも胸を打ちます。
(かに三匹)




