マグミクス | manga * anime * game

天才漫画家・永井豪が『ハレンチ学園』で描いた「歴史的な闘い」とは?

『マジンガーZ』『デビルマン』など、数々のヒット作を生み出してきた天才漫画家・永井豪。表現者としての大転換期となったのが初期の代表作『ハレンチ学園』でした。教育委員会やPTAが有害図書扱いしようとした『ハレンチ学園』の影響について紹介します。

「少年ジャンプ」不買運動が勃発

50周年記念愛蔵版『ハレンチ学園』第3巻(小学館)
50周年記念愛蔵版『ハレンチ学園』第3巻(小学館)

 人気漫画家・永井豪氏のデビュー50周年突破を記念した「永井GO展」が、2019年9月29日(日)まで、東京・上野の森美術館で開催されています。『デビルマン』『マジンガーZ』『ドロロンえん魔くん』など、永井豪作品の直筆原画や描き下ろしのイラストが所狭しと会場には並んでいます。

 たびたび映像化されている『キューティーハニー』は若い女性にも人気が高く、幅広い層の来場者で賑わっています。SF、ギャグ、ホラー、時代ものなど多彩なジャンルに及ぶ永井作品ですが、今回は社会問題にまで発展した初期の代表作『ハレンチ学園』に注目したいと思います。

 今なおファンの心をときめかせる『ハレンチ学園』は、1968年〜1972年に集英社「週刊少年ジャンプ」で連載されました。物語は、ガキ大将の山岸と子分のイキドマリが「ハレンチ学園」に入学するところから始まります。

 山岸とイキドマリは、同期入学の十兵衛こと柳生みつ子やアユちゃんたち美少女との出会いに目を輝かせます。また、原始人を思わせる個性的すぎるファッションセンスの持ち主、「ヒゲゴジラ」をはじめとする、超セクハラ&パワハラ教師たちに立ち向かうことになるのです。

 タイトルからすごくエッチな印象を受けますが、『ハレンチ学園』第一部では、山岸もみつ子もまだ小学生です。スカートめくりで盛り上がるという、かわいらしいエロチズムの世界でした。

 ところが、現実にスカートめくりがブームになるなど、『ハレンチ学園』の人気が子どもたちの間で高まると、次第に大人たちが騒ぎ始めたのでした。1970年になると各地のPTAや教育委員会が問題視し、「少年ジャンプ」不買運動が起きるようになりました。

 当時23〜24歳の若手漫画家だった永井豪氏は、各テレビ局のワイドショー内の討論会に呼ばれ、『ハレンチ学園』を有害図書と見なす大人たちから吊るし上げられる目に遭っています。

【画像】画業50年を突破、ファンを虜にする永井豪作品たち(6枚)

画像ギャラリー

1 2