「スイッチ後継機」は値上げする? 「高性能と低価格の両立」に挑んだ任天堂の過去事例
家庭用ゲーム機は、後を受け継ぐ新型機が一定のサイクルで登場します。おそらくスイッチも、例外ではないでしょう。しかし、後継機に高い性能を求める人もいれば、低価格路線を望む人もいます。この両方を満たす妙手はあるのか。任天堂が行った過去の施策を振り返ってみました。
「高性能」と「低価格」 両立に挑んだ任天堂の歩み
7周年の足音も聞こえ始めてきた「Nintendo Switch」(以下、スイッチ)は、長きにわたって活躍を続け、今現在も高い人気と支持を集めています。その勢いは未だ衰え知らずですが、昨今ではスイッチの次の世代を担う「後継機」の予想や話題など盛り上がり、次世代への関心も高まるばかりです。
まだ噂の段階に過ぎないものの、「スイッチ後継機」に向けるユーザーの興味は大きく、まずは性能の向上を求める意見が目立ちます。スイッチ向けゲームのなかには、処理落ちやカクつきが発生する作品もあるため、快適なプレイ環境を求めて「高性能」を要望するのも自然な話です。
一方、スイッチの成功は低価格路線も理由のひとつと言われており、「1家庭に1台」ではなく「ひとり1台」として普及した側面もあります。親がプレゼントするにしても、子供たちが自分で買うにせよ、スイッチ後継機の価格が跳ね上がってしまうと購買意欲を減退させかねません。それはユーザーも自覚しており、「低価格」を望む声も多数見られます。
処理や描写の向上に欠かせない「高性能」と、手軽に買いやすい「低価格」。両立が難しいふたつの方向性を、スイッチ後継機は求められています。性能を上げれば価格が増し、価格を抑えれば性能が下がる。そんなシーソーのような関係にあるこのふたつの要素を、両立させるのは実に困難です。
ですが、「性能を高めつつ、価格面のニーズに応える」という妙手は、なくもありません。しかも任天堂自身が、そうした試みを過去に何度も行ってきました。「高性能と低価格」に挑んだ歴史を振り返り、スイッチ後継機が辿(たど)るかもしれない未来に想いを馳せてみましょう。
●ユーザーに選択肢を与えた「Wii U」
「高性能」と「低価格」を両立するひとつのゲーム機を出すのではなく、それぞれの路線に向けたゲームを出す、という方法で解決する手があります。スイッチのひとつ前の世代となる「Wii U」が、この施策を行いました。
Wii Uより前に任天堂がリリースした家庭用ゲーム機は、14800円だった「ファミリーコンピュータ」のみ例外で、そのほかは全て25000円前後で発売。他社のライバル機と比べ、価格を抑える路線で差別化を図ってきました。
ですが、Wii Uの時代は性能競争が特に激しくなり、任天堂のゲーム機にも高性能を求める声が押し寄せます。そんな折に登場したWii Uは、「プレミアムセット」と「ベーシックセット」の2バージョンを同時に展開しました。
「プレミアムセット」はメモリーが32GBで価格は31500円(税込)、「ベーシックセット」はメモリーを8GBに抑え、価格も26250円(税込)と控えめに。歴代初の30000円超えとなった一方で、手頃な「ベーシックセット」も用意してユーザーに選択肢を与えます。
高性能を求める人には、その分価格も増す上位版を、低価格路線を望む人にはスタンダードなものを。こうした施策も、「高性能」と「価格」に折り合いをつけるひとつの手段と言えるでしょう。
発売時期に時間差はありますが、従来型のスイッチと、携帯型に特化して価格も安くなった「Nintendo Switch Lite」も、性能と価格の折り合いをつける選択肢のひとつと考えれば、同じような手法をスイッチ後継機にも当てはめる可能性は十分あります。