顔からビームはやっぱロマン? 「ガンダム」シリーズのMS頭部に装備された超強力砲
「目からビーム!」のように古来、スーパーロボットや特撮ヒーローには、額や目など頭部から放つ必殺技が見られます。そのような文脈上にあるのか、リアルロボット路線である「ガンダム」シリーズのモビルスーツにも見られました。
あまりにも破壊力抜群のために使用回数が少ない?
「ガンダム」シリーズに登場する多彩な「モビルスーツ(MS)」には、意外な場所に武装を隠す機体も見られます。例えばそれは、スーパーロボット「マジンガーZ」の「光子力ビーム」のように、頭部からビーム攻撃を放つMSも見られました。
代表的な例はやはり『機動戦士ガンダム』に登場し、「シャア・アズナブル」が搭乗した「ジオング」でしょうか。端的にいえば「口からビーム!」です。
そのメガ粒子砲を備えるジオングの頭部にはコックピットがあり、頭部そのものが緊急時の脱出ポッドも兼ねていました。「ガンダム」と対峙した際には胴体をおとりにした頭部メガ粒子砲で奇襲し、相手の頭部を破壊して一矢を報いる見せ場もありました。
一方「ガンダム」タイプのMSはというと、『機動戦士ガンダムZZ』に登場した「ジュドー・アーシタ」が乗る主人公機「ZZガンダム」の額に搭載された「ハイ・メガ・キャノン」が代表的でしょう。その出力はコロニーレーザーの20%ほどといわれ、高すぎる威力から負担も大きく、劇中でも数えるほどしか使われていません。
最終話で「ハマーン・カーン」の乗るMS「キュベレイ」に向かって全力で放った際には、その威力に耐え切れずZZの頭部アンテナが融解してしまいました。防いだキュベレイもコロニーの外壁に叩きつけられるほどで、それまでの描写からしても当時のMSに積まれた火力として最大級の威力であることが分かります。
また『ZZガンダム』では、「プルツー」の乗った「クィン・マンサ」の額にも「メガ粒子砲」が搭載されています。ただし、胸部や腕部といったほかの場所に備えられたメガ粒子砲に対して割を食っており、本編での見せ場として不遇な印象も否めません。
「ZZ」「クイン・マンサ」のような「額からビーム!」は、2024年公開の映画『機動戦士ガンダムSEED FREDOM』で「キラ・ヤマト」が乗った「マイティーストライクフリーダムガンダム」にも見られ、こちらは「ディスラプター」との呼称です。
あまりにも高い威力ゆえに、平和維持機構「コンパス」の総裁「ラクス・クライン」の承認を得ないと使用できない制限があります。しかし、ひとたび使用を解禁されると強力無比な性能が発揮され、巨大兵器を隠れていた残骸もろとも両断する威力を見せました。
福田己津央監督によれば、シナリオ上では「超破壊光線」、絵コンテで「ブラスター」となり、最後に設定などで参加していたスタジオぬえの森田さんの案「ディスラプター」と、名称が変遷していったそうです。最終的に決まった名称に福田監督は「ロミュランかよ!」と思ったといい、アメリカのSFドラマ「スタートレック」シリーズに登場する宇宙人の種族「ロミュラン」などが持つ同名武装のオマージュも意識していそうです。
武装を積めるような場所は背部のバックパックや腰部などにもあり、あえて頭部に搭載する必要はないようにも思えてしまいます。しかし、頭部に積まれているビーム兵器は強力なものも多く、冒頭で述べたような必殺技としての側面もあったのかもしれません。
(LUIS FIELD)