フリーレンはなぜ「くだらない魔法」を集めるのか 「花畑の魔法」が変えた人生とは
『葬送のフリーレン』の主人公フリーレンは、強力な攻撃魔法よりも「背中のかゆい部分をかく魔法」や「パンケーキを上手にひっくり返す魔法」など、仲間からも「くだらない」と言われる民間魔法を好んで集めています。1000年以上生きる大魔法使いが、なぜ非実用的な魔法にこだわり続けるのか? その謎を解くカギは、物語の序盤から断片的に描かれていました。
フェルンも「くだらない魔法ですね」と納得?

『葬送のフリーレン』の主人公、「フリーレン」が人助けの報酬として好むのが「くだらない魔法」です。それらは「民間魔法」という種類で、誰かが独自に開発した生活の役に立つような魔法です。原作で現在までに出てきた民間魔法は、ざっと20種類以上あります。
例えば、2026年1月から3月まで放送されたアニメ2期でフリーレンが入手した主な魔法は…
・背中のかゆい部分をかく魔法(「南の勇者像」清掃の報酬として/30話)
・赤リンゴを青リンゴに変える魔法(ダッハ伯爵の「宝剣」奪回の報酬として/30話)
・卵を割ったときに殻が入らなくなる魔法(メトーデに頭を「なでなで」させる対価として/35話)
・早口言葉を噛まずに言えるようになる魔法(「竜の群れ」退治の報酬として/37話)
・パンケーキを上手にひっくり返す魔法(ゲーエンの橋を脅かす魔物討伐の報酬として/38話)
旅をともにする「フェルン」や「シュタルク」からも「変な魔法」「くだらねぇ」と言われるほどですが、そんな非実用的な魔法ほど、フリーレンは欲しているようにも見えます。
「もっと強力な攻撃の魔法を極めるべきでは?」 と思ってしまいますが、ではなぜフリーレンは「くだらない魔法」を集めるのでしょうか? これはファンのあいだでもよく議論になるポイントです。
「大きなきっかけ」が物語冒頭に?
この「謎」に関して必ず話題に上るのが、「花畑を出す魔法」です。これはフリーレンの師匠「フランメ」が一番好きな魔法として残したもので、しかも彼女が、勇者「ヒンメル」と出会うきっかけとなった魔法です。
幼いヒンメルが森で迷子になったとき、フリーレンが一瞬で花畑を見せて励ましたことがありました。この出会いがあったからこそ、その後ヒンメルはフリーレンとともに魔王を倒す旅に出るのです。フリーレンにとっては普通の出来事でしたが、ヒンメルには一生忘れない原体験になっていたのです。
長命なフリーレンは、時を経て、ヒンメルの人生に自分の魔法が大きく関わっていたと知り、「花畑を出すようなくだらない魔法でも、人の人生を大きく動かすことがある」と、身をもって思い知らされます。
ここで、フリーレンが民間魔法の魔導書を欲しがる理由が見えてきます。民間魔法は、「日常の困りごとや、ささやかな願いをかなえる魔法」ばかりです。そして、そのひとつひとつの魔法の裏には、「こうなれば良いのに」と考えた誰かがいます。フリーレンは、そんな魔法を集めることで、花畑を見せたときのヒンメルのような「誰かの気持ち」にもう一度手を伸ばしているのだと思うのです。フリーレンが「くだらない魔法」を好んで集めるきっかけは、この体験だと考えるのが自然でしょう。
フリーレンが魔法を収集する理由は明確ではありません。そもそも今は、「人間を知ること」を目的のひとつとして旅を続けているため、結局、民間魔法は人間を知るためのツールなのだと考えられます。


