1980年代、男子も「花とゆめ」に夢中だった? こっそり読んでハマった作品とは
「花とゆめ」といえば、創刊から50年以上になる代表的な少女マンガ雑誌です。しかし、男性の「隠れ読者」も少なくありません。それには「花とゆめ」の伝説的なマンガの影響がありました。
大きなきっかけだった『パタリロ!』のアニメ化

男性にとって、少女マンガを読むのはハードルが高いものです。しかし、1980年代の少女マンガ雑誌「花とゆめ」には男性を引き付けるマンガが連載されていました。そんな男性たちも夢中にさせた「花とゆめ」のマンガについて振り返ってみましょう。
少女マンガを男性が手に取るきっかけはいくつかあります。割とよくあるパターンは、家族に姉か妹がいる場合でしょうか。比較的、手に取りやすいきっかけです。その逆として女性がバイオレンスあふれる男性向けマンガを手に取るきっかけともなり、異性の兄弟がいる場合ならではのパターンといえるでしょう。
アニメやマンガ好きの異性の知人から薦められるというパターンもあります。こういう場合、ピンポイントで面白い作品を紹介されるので意外と重宝するパターンでしょうか。しかし、もっとも影響力があるのは、アニメ化されて作品を知り、原作マンガにのめり込むというパターンかもしれません。
そういった意味では、男性にとって「花とゆめ」を知るきっかけになった作品は1982年にTVアニメ化された魔夜峰央先生の『パタリロ!』ではないでしょうか。ちなみに「花とゆめ」初のアニメ化は、1981年に劇場アニメとなった竹宮惠子先生の『夏への扉』です。
もっとも、『パタリロ!』の存在はマンガ好きの男性ならアニメ化以前から知っていた人がほとんどでした。それくらい人気のあったマンガだったのです。ただしファンの間ではTVアニメ化は不可能だといわれていました。その理由は、メインキャラ「バンコラン」の美少年キラーという設定が、お茶の間にはそぐわないと誰もが思ったからです。
この難易度の高い問題をTVアニメでは変更することなく再現しました。もっともバンコランの相手となる美少年の声は女性声優が担当するという方法でかわしたという感じでしょうか。この『パタリロ!』のアニメでのヒットが、「花とゆめ」を男性が知る大きなきっかけとなったと思います。
さらに1984年には美内すずえ先生の代表作『ガラスの仮面』もTVアニメ化されました。当時の『ガラスの仮面』は連載開始から9年目に達した名作であり、アニメ化以前から認知度の高い作品だったと思います。
こうしたことから1980年代の「花とゆめ」は男性から注目を集めた少女雑誌となったわけですが、この時の連載マンガにはさらなる注目作品がありました。