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「スーパー戦隊終了」で日本が「本当に失ったもの」とは? 誰もが享受していた「意外な功績」

「スーパー戦隊」は、半世紀近く放送された日本の誇る特撮番組でした。その功績は多岐にわたるものですが、ライダーやウルトラマンのように「中断」がなかったことは、大きな意味がありました。

「止まることなく制作されていた」ことが最大の功績?

「スーパー戦隊」シリーズ50周年を記念し、49作のヒーローたちをモチーフとしたアンダーウエア「HIPSHOP SUPER SENTAI Series」ビジュアル(プロビジョン)
「スーパー戦隊」シリーズ50周年を記念し、49作のヒーローたちをモチーフとしたアンダーウエア「HIPSHOP SUPER SENTAI Series」ビジュアル(プロビジョン)

 さまざまな報道により「スーパー戦隊」シリーズの終了が伝えられていましたが、放送中の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』の後枠として、『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』の放送が正式発表されました。「戦隊の終了」について、公式が明確な発表はまだありませんが、シリーズの終了はいよいよ現実のものとなってきました。ほとんどの人は覚悟していた事態ですが、やはり寂しさは隠しきれません。2025年で「50周年」を迎えた戦隊のシリーズの功績はたくさんありますが、シリーズ誕生から「止まることなく制作されてきた」というのは、意外に思うかもしれませんが重要な功績だったと筆者は考えます。

 とはいっても、戦隊には休眠期がありました。それが第2作『ジャッカー電撃隊』が終了した1977年12月14日から、第3作『バトルフィーバーJ』が始まる1979年2月3日の間でした。簡単にいえば、1978年は戦隊が放送されていない年になります。

 もっとも、これはシリーズが確立していない時期の話で、実際に戦隊がシリーズとなった後は、途切れることなく放送が続いていました。それゆえに今回の「シリーズ終了」は大きな出来事だったわけです。

 一般的に、戦隊とあわせて「三大TV特撮」と呼ばれる「ウルトラマン」シリーズ、「仮面ライダー」シリーズも、休眠期はありました。しかし、近年ではもっとも長い放送期間を維持しています。その点から戦隊が休眠することは、コンテンツとしての力が衰えたことが露呈する結果といえるかもしれません。

 しかし半世紀近くにわたって戦隊が放送され続け、シリーズも49作を数えるという驚異的な数字は、功績としては偉大なものといえるでしょう。なおかつ、「放送が途切れなかった」からこそ生まれた功績に注目したいと思います。

異なる世代どうしでも「共通の話題」になった?

平成最初のスーパー戦隊シリーズ『高速戦隊ターボレンジャー』は、当時のミニ四駆ブームを思い起こす人が多い? 『高速戦隊ターボレンジャー DVD COLLECTION VOL.1』』 (C)東映
平成最初のスーパー戦隊シリーズ『高速戦隊ターボレンジャー』は、当時のミニ四駆ブームを思い起こす人が多い? 『高速戦隊ターボレンジャー DVD COLLECTION VOL.1』』 (C)東映

 長期間にわたる「戦隊」のTV放送が生んだ功績。それは「同じ世代が共通の話題を語れる」点ではないでしょうか。「子供の時観ていた戦隊は?」のひと言で、だいたいの年齢がわかり、そこから共通の話題が生まれるきっかけにもなります。

 これがもっと濃い話になると、「生まれた時に放送された戦隊は?」になるでしょう。歳が離れた者同士がコミュニケーションを取るきっかけにもなります。ちなみに筆者は1978年生まれの人に、「自分は唯一、戦隊のなかった年に生まれました」という自己紹介をされたことがありました。

 他にも、作品から逆引きして当時何があったかを思い出すきっかけにもなります。たとえば映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の影響があった『バトルフィーバーJ』、第一次ミニ四駆ブームの影響で車がモチーフになった『高速戦隊ターボレンジャー』。『鳥人戦隊ジェットマン』の頃は、トレンディードラマブームだったことなどでしょうか。

 個別のエピソードにもそういったものがあり、『バトルフィーバーJ』に出てきた「口裂け怪人」から、当時は口裂け女ブームだったことや、『科学戦隊ダイナマン』に出てきた「ワープロアルマジロ」から当時はワープロが出始めた時期だった……といった話が弾みます(今の若い世代には「ワープロ」とかは意味不明かもしれません)。

 こうした長期間にわたって途切れることがなく続いたことで、いろいろな世代の共通の話題が見つけることができるのが、戦隊の隠された魅力ではないでしょうか。昔の作品を観ることで当時のことを思い出す触媒のような作品だと思います。

 それゆえにシリーズが終了することは、「日本文化を語る手段のひとつ失った」といえるほどの損失ではないでしょうか。数年後、戦隊が復活したとしても、失われた期間は取り戻すことはできません。そうしたことを感じるからこそ、多くの人は戦隊が終了することで喪失感に襲われるのだと思います。

(加々美利治)

【画像】「えっ、朝に放送されたの?」これが大人世代も動揺した『戦隊』悪の女幹部のビジュアルです(5枚)

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