新作『宇宙刑事ギャバン』 「設定変更」は問題じゃない? 往年のファンが最も期待してしまうものとは
「スーパー戦隊」シリーズの後番組は『宇宙刑事ギャバン』のリメイクに決定しました。リアタイ世代が期待するのは、オリジナル同様の宇宙的な広がりのある世界観と主演俳優の吹替えなしの本気のアクションでしょう。
当時最高の予算額が投下された『ギャバン』

50年も愛された「スーパー戦隊」シリーズは残念ながら終了することになりましたが、代わりに後番組として新たな特撮ヒーローシリーズ「【PROJECT R.E.D.】」が発表されました。
「赤いヒーローが活躍する」というシリーズで、記念すべき第1弾は『宇宙刑事ギャバン』のリメイク作品である『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』です。「赤いなら『シャリバン』じゃないの?」というツッコミはさておき、オールドファンが期待するのはオリジナル版の大きな特徴だった、体を張った立ち回りと命がけのスタントでしょう。はたして『インフィニティ』でも実現できるのでしょうか?
オリジナルの「宇宙刑事シリーズ」は、当時大人気だった「スーパー戦隊」の5人分に引けを取らない作品にすべく、当時の東映特撮史上最高の予算が投入されました。その結果、光輝くスーツや最新の特撮技術がふんだんに使われ、またたく間に人気シリーズとなります。
シリーズが終了して40年も経過した現在、造型や特撮技術はおそらく再現可能ですが、生身の俳優たちのアクションの再現は簡単ではありません。当時の最大の見どころは、演技もスタントもこなせる「JAC(ジャパンアクションクラブ)俳優」の体を張ったアクションでした。
第1作『宇宙刑事ギャバン』(1982)の主演は大葉健二さんです。すでに大葉さんは『バトルフィーバーJ』(1979)で「バトルケニア/曙四郎」、『電子戦隊デンジマン』(1980)では「デンジブルー/青梅大五郎」と、2年連続でスーパー戦隊シリーズにレギュラー出演しています。変身前でなく変身後のスーツアクトもこなし、コミカルな演技で子供たちの人気者でした。
故・千葉真一さんの創設した「JAC」(現:JAE)の初期メンバーであり、古くは『人造人間キカイダー』(1972)や『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)のスーツアクトをしていました。
『ギャバン』では満を持して単独主演の座を勝ち取ります。「宇宙犯罪組織マクー」の兵士との戦闘や高所からの飛び降りなど、危険なアクションをトリックなしで演じ切っています。
続く『宇宙刑事シャリバン』(1983)では渡洋史さん、『宇宙刑事シャイダー』(1984)では森永奈緒美さんらJAC俳優がアクションを担当し、シリーズを盛り上げます。1980年代当時でも、危険なアクションは俳優にかわってスタントマンが担当するのが常識でした。しかし、香港ではジャッキー・チェンさん、日本では当時JAC所属だった真田広之さんがスタントなしで危険なアクションをこなしていました。


