『エースコンバット2』が叶えてくれた”夢” きっかけはおっさんが飛行機を手に?
「パイロットになりたい」子供の頃の夢を叶えてくれたのは……。1997年に発売されたプレイステーション用ソフト『エースコンバット2』の思い出を、『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』で活躍した石田和明先生が語ります。
1本のゲームが叶えてくれた、子供の頃の夢
1997年に発売されたプレイステーション(以下、PS)用ソフト『エースコンバット2』。ハードの性能を最大限に活かした圧巻のグラフィックは、飛行機の操縦に憧れるプレイヤーたちを大歓喜させました。
『ドラゴンクエスト』を題材とした人気コミック『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』で活躍した漫画家の石田和明先生が、『エースコンバット2』の思い出を語ります。
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1本のゲームが子供の頃からの夢を叶えてくれる。『エースコンバット2』は僕にとってまさにそんなゲームでした。
小学生の頃からプラモデルが大好きで、特に戦闘機が好きでした。手に零戦のプラモデルを持って「いつかこれに乗って空を飛びたい」そんなことを夢想する子供でした。しかし現実には、運動神経はない、視力はどんどん悪くなる、英語苦手、個人で飛行機の操縦免許を取得するには高額な費用が必要などなど、中学を卒業する頃にはパイロットの夢など完全にしぼんでしまいました。
そんな夢を見ていたことすら忘れたまま30代のおっさんになっていたある日、あるTVCMに目が釘付けになりました。サラリーマン風のおじさんが戦闘機の模型を手に持って、会社の中で「キーン」とか言いながらめちゃめちゃ楽しそうに飛ばしています。『エースコンバット2』のCMです。これはもう絶対に買わなくちゃいけません!(笑)
※余談ですが、初代プレイステーションゲームのTVCMは傑作ぞろいでした。
さて『エースコンバット2』、早速プレイしてみたのですが、面白い、面白いんだけど、何かちょっと物足りない。もしかして、これは専用コントローラーがあったらもっと面白くなるんじゃないか? そう思い、アナログジョイスティック(当時ゲームソフト1本分の値段がする決して安い買い物ではないのですが)思い切って買ってみました。
アナログジョイスティックをPS本体につないでゲーム再開、試しに右スティックをぐいっとひいたら、いきなり天地がぐる~んと一回転! 思わず「うわぁっ!」と声が出ました。これが真の『エースコンバット2』との出会いでした。
地表を走るクルマの運転と違い、立体的に機動する戦闘機の操縦はとにかく旋回、旋回が命です。最初はその全く異質な操作感に戸惑い、行きたい方向に機首を向けることもおぼつかなかったのですが、次第に操作に慣れてくると三次元空間を自在に飛び回れるようになります。橋の下をくぐり、ビルの谷間をすり抜け、地上すれすれの高度を背面飛行。
もちろん慣れれば標準のゲームコントローラーでもそれらの操作は可能です。しかし戦闘機の操縦桿を模したアナログジョイスティックの臨場感は格別です。
「いまオレは戦闘機を操縦している!」
本気でそう思わせてくれたのが『エースコンバット2』でした。プラモデルを眺めながら、いつかこれに乗りたいと思っていた飛行機少年がついにコクピットを手に入れたのです。
PSは『エースコンバット2』専用機と化し、世がPS2時代に入ってもひたすらプレイするのは『エースコンバット2』。
そんなある日、いつものように快調に敵艦めがけてミサイルを放っていると、突然バキッ! という音がして右スティックの根元が壊れ、コントロールを失った機体はそのまま海面に激突。TVの前で固まったまま僕の『エースコンバット2』人生は唐突に終わりました……。
『エースコンバット2』の具体的なゲーム内容に関しては、こちらにライター・早川清一朗氏の詳しい記事がありますので、ぜひご覧ください。
(石田和明)