「ガンダム」いつの間にか消えた4人のキャラ 派生作品で意外な「その後」も…
歴史の長い宇宙世紀のガンダムキャラのなかには、メインとなるTVアニメで姿を見せなくなりながらも、後の時代に意外な活躍を見せる者もいました。さらにはまったく異なった運命が描かれていたキャラもいます。
媒体が運命の分かれ道だったキャラクターたち

「ガンダム」シリーズでは、重要なキャラクターでありながらも、物語中では何らかの決着がつくことなく、いつの間にか退場したキャラたちが何人かいます。その後はアニメ以外の書籍などで登場することもありましたが、その運命は作品によって違っていました。
まずは『機動戦士ガンダム』に登場したマ・クベです。TV版ではギャンに乗ってアムロ・レイと戦い、戦死する結末を見せていました。しかし、劇場版ではそのシーンはカットされ、生死に関しては触れられていません。実は宇宙世紀の歴史では、一年戦争は劇場版が正史となっているので、マ・クベは生きのびて、後の歴史にも登場する可能性もあるわけです。
そうは言っても、マ・クベが一年戦争以降の歴史に介入する物語はほとんどなく、マンガ『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』や『機動戦士ガンダム バンディエラ』では、一年戦争中に戦死した形になっていました。やはり正史でないとはいえ、TV版で死亡したキャラは使いづらいのでしょう。
作品によって運命が大きく変わったキャラといえば、『機動戦士Zガンダム』に登場したベルトーチカ・イルマを思い出します。
『Z』でアムロが戦場に戻るきっかけを作った女性で、その後、恋人同士となりました。あまり周りを気にしない性格が幸いして、作品ではトラブルメーカー的な立場になっています。しかし、その性格も徐々に和らぎ、再登場した時はシャア・アズナブルのダカール演説をサポートするという行動力のある活躍を見せました。
その後、アニメでは『機動戦士ガンダムUC』で、フリーランスの情報屋として登場しています。この間にアムロとは別れており、その理由については富野由悠季監督の小説『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー』に書かれていました。
ところが、同じく『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を舞台とした小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』では、TVに引き続いてアムロの恋人として登場、彼の子供を身籠もっているヒロイン的な立ち位置にいます。
この異なる展開には理由がありました。もともと劇場版では『ベルトーチカ・チルドレン』の構成通りに進む予定だったのが、「ガンダム映画化委員会」から「アムロが子供を持つことでヒーロー性にかけてしまう」と指摘されたため、その座を新たに設定されたチェーン・アギに譲ることになったのです。劇場公開当時、この2つの小説版がほぼ同時に発表されていました。
筆者としては、父親になるアムロの活躍も見て見たかったので、このプロットが廃案になったのは惜しいことだったと感じています。もしも、『逆襲のシャア』がリメイクされるようなことがあれば、ベルトーチカ版が見たいという人も少なくないのではないでしょうか?