「撃つ」より「避ける」を快感に変えた、90年代「彩京シューティング」の世界
ゲーマーたちを魅了した、「彩京弾」の攻略
初見で「思いのほか速い」と感じさせた彩京シューティングゲームの敵弾は「彩京弾」と呼ばれ、ゲーマーの間で広く知られるようになります。自機を狙ってくるのではなく、固定の軌道で飛んでくる高速弾幕は、その場で弾を見て避けるのが非常に難しく、さらに緩急を混ぜた波状攻撃も加わってきます。
ただ、失敗を重ねながら敵の攻撃タイミングと避け方のパターンを覚えていくと、一見攻略不可能に見える派手な弾幕も難なくかわせるようになり、クリアの達成感につながっていきます。「彩京弾」は、敵を撃ち落としていく爽快感ではなく、殺人的な弾幕をスルリとかわして敵を返り討ちにするという快感をゲームセンターにもたらしたのです。
その「彩京弾」の魅力とともに多くのゲーマーに支持されたのが、零戦やP-38、スピットファイアなど第2次世界大戦時代の戦闘機を操る『ストライカーズ1945』(1995年)でした。弾よけの手応えはもちろん、それぞれの戦闘機の個性も豊かで、どの戦闘機を選ぶかによっても攻略方法も変わってくるという「やりこみ要素」満載の作品で、続編となる『ストライカーズ1945 II』(1997年)とともに名作ゲームとして記憶されることになります。
彩京はその後も、ファンタジー世界を舞台としたシューティングゲームの続編『ガンバード2』(1998年)や、現代のジェット戦闘機が活躍する『ストライカーズ1999』(1999年)などをリリースしていきますが、2000年代に入ると筐体シューティングゲームそのものがブーム終えてゲームセンターから姿を消していき、メーカーの彩京もブランド名だけを残して消滅しています。
この度発売される『彩京 SHOOTING LIBRARY』は、シューティングゲームの一時代を築いた彩京作品の歴史を今に伝えるアーカイブといえますが、当時を体験していない世代にとっては、画面を埋め尽くす敵弾を避けていく、いわゆる「弾幕系シューティング」とは違った新鮮なゲーム体験ができるかも知れませんね。
(マグミクス編集部)
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