見た目はザクだけど中身は…？　ザクの皮を被る「後継機じゃなかった」別モノMS

アクトとかザックとか…みんなザク好きすぎ（？）

　シリーズ1作目となる『機動戦士ガンダム』にはさまざまなモビルスーツ（MS）が登場し、なかでも「ジオン公国軍」の顔といえば「ザクII」といえるでしょう。運用実績はもちろん、その後のMS開発においてベースとなることもあり、「ガンダム」シリーズで欠かせない存在ともいえます。

　しかし、なかには「ザクっぽい見た目」なのにもかかわらず、「正式な後継機ではない」という紛らわしいMSもありました。たとえば、シリーズ2作目『機動戦士Zガンダム』に登場した「ハイザック」は、「ほぼザク」といっていいほどの外見をしていながら、「ジオン軍」が敵対していた「地球連邦軍」により開発されたMSです。

　というのも、ファーストガンダムで描かれた「一年戦争」以降、地球連邦は旧ジオン軍の残党に対処する必要があるなかでMS開発も進めており、その際に旧ジオン軍から吸収した技術も大いに活用したという背景があります。ハイザックはザクIIの設計をベースにして、ビーム兵器や全天周囲モニター、リニアシートといった新たな要素を採用しており、中身はザクIIとまったくの別物です。あくまでも地球連邦軍のMSとなるので、ザクの後継機とはいえないでしょう。

　また、ザクの生みの親であるジオン軍も、ザクIIをベースに次世代機を開発した経緯があります。それは一年戦争末期に「ぺズン計画」として開発が進められた「アクト・ザク」です。

　同機は、ザクIIでは難しかったビーム・ライフルやビーム・サーベルの使用が可能になった高出力型であり、さらに反応速度も向上しています。「ザク」の名が入っているものの、実態はまったく違った機体で、型式番号もザクシリーズの「MS-06」系ではなく、「MS-11」が採用されました。次期主力機になることを見込まれていましたが、開発が遅れたことで試作段階に留まり、その次期主力機としては「ゲルググ」が量産化されています。もしも順調に開発されていたら、一年戦争の戦況に変化を起こしてくれていたのでしょうか。

　一方、「MS-06」系のバリエーション扱いながらおおむね別モノという、「ほぼ名前だけザク」といえる機体も存在します。

　ジオン軍は、いわゆるニュータイプ専用兵器の前段として、パイロットの意思をMSに反映させる「脳波誘導兵器サイコミュ」の開発を進めていました。その集大成となるのは、ファーストガンダムの最終話で「シャア・アズナブル」が搭乗した「ジオング」なのは言うまでもないでしょう。その「ジオング」に至るまでのテスト機のひとつが、「MS-06Z サイコミュ試験用ザク」でした。

　同機は「MS-06Z」とあるように、頭部にはザクを象徴するモノアイがあるものの、「MS-06F」から流用されたのはメインフレームだけで、外観形状にほとんどザクの面影を残していません。それもそのはずで「腕部に有線式5連装メガ粒子砲」「胸部や背部にロケットエンジン」などが備わっており、ザクでは考えられないほどの推力を実現しています。しかし、稼働時間は約10分だったこともあり、試作実験機の域は出ませんでした。

（LUIS FIELD）