『戦争めし』の魚乃目三太氏 日本人の「食卓」描いて伝えたいこととは
「食べることが、生きること」 『戦争めし』で語り継ぎたいこと

2015年より「ヤングチャンピオン烈」(秋田書店)などで連載中の『戦争めし』。魚乃目三太さんは、本作で人間の営みの根源である「食」をテーマに戦争を描き、あらゆる世代から反響を呼んでいます。
「僕が『戦争めし』を描くきっかけとなったのは、テレビの戦争特集で紹介された1枚の絵を見たことです。インパール作戦の生還者による作品で、「空の飯盒(はんごう)」を握りしめてジャングルを逃げまどう、若き日のご自身を描かれていました。兵士なのに、手にしているのは銃ではなく飯盒だった。気になって、インパール作戦のことを調べたんです」
1944年のビルマ戦線において、旧日本陸軍がインド北東部の都市・インパールの攻略を目指した「インパール作戦」。ビルマとアッサム地方の間には2000メートル級のアラカン山脈が横たわっています。前線への食糧補給が困難なことから、作戦は発動から3か月あまりで失敗。そして、撤退路で多くの将兵が飢えと病に倒れています。
「インパール作戦について、調べれば調べるほど無謀な作戦だったことがわかりました。悲惨な体験を描いたイラストには、百万言の言葉より伝わるものがあった。その絵からは『食べることこそが、生きること』だというメッセージを感じたんです。
僕が『戦争めし』の連載を始めてから、今年で8年目の夏を迎えることができました。今も、あの時に見た1枚のイラストに、尊敬の念を込めながら『戦争めし』を描き続けています」
戦争体験者や遺族の協力のもと、取材を続ける魚乃目三太さん。『戦争めし』をきっかけに戦争を学ぶようになった若い世代との交流も生まれています。最新刊のyc COMICS『戦争めし』8巻(秋田書店)には、沖縄・本土復帰50年を機に、恩納村戦没者遺族会・恩納村立うんな中学校の協力で誕生した「沖縄戦場めし」を収録。
画集『魚乃目三太のマンガめし画帖』では、魚乃目三太氏によるイラストと共に「戦艦大和のオムライス」や「零戦の空弁」などのエピソードから、戦時下の食事情を解説しています。
終戦から77年目の夏――。「食べることが、生きること」という魚乃目三太さんのメッセージとともに、私たちの「食」の歴史を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
※文中一部敬称略
(C)魚乃目三太
●『魚乃目三太のマンガめし画帖 幸福ゴハンのきのう・きょう・あした』(玄光社)は、2022年8月16日(火)より全国発売予定、B5判、160ページ、本体2500円+税。
URL:https://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=28883
●東京・神保町の書店、書泉グランデと書泉オンラインショップにて、画集の刊行記念として「魚乃目三太フェア in 書泉グランデ」を開催。8月上旬より本画集の先行販売を実施しています。書泉グランデ店舗では、本画集誌面を用いた複製画の展示とともに、単行本など魚乃目三太の関連書籍を販売しています。
場所:書泉グランデ(神保町)2F
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-3-2
期間:2022年8月1日(月)から8月31日(水)まで
書泉Webサイト:https://www.shosen.co.jp/
書泉オンラインショップ:https://www.shosen.co.jp/shop/
お問い合わせ:書泉グランデ(神保町)TEL 03-3295-0011
(諸般の事情により変更の可能性があります。詳細は書店公式サイトをご確認ください)
●仙台の書店・喜久屋書店仙台店にて8月16日(火)頃より、画集の誌面を用いた複製原画の展示が開催予定です。
(諸般の事情により変更の可能性がありますので、書店公式サイトをご確認ください)
場所:喜久屋書店仙台店
〒980-0021 宮城県仙台市青葉区中央4-1-1イービーンズ6F
期間:2022年8月16日(火)頃から1か月程度
喜久屋書店仙台店公式Webサイト:https://www.blg.co.jp/kikuya/shops/sendai/
『魚乃目三太のマンガめし画帖 幸福ゴハンのきのう・きょう・あした』(玄光社)より。Chapter.3「あしたの食卓」章扉 (C)魚乃目三太/秋田書店