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「ヤンキー漫画」は40年でバラエティ化した? ケンカと抗争の世界から「弁当男子」まで

ヤンキーは成り上がりの物語からカースト下層の物語へ

2010年代のヤンキーマンガ、『NYANKEES』(画像:KADOKAWA)
2010年代のヤンキーマンガ、『NYANKEES』(画像:KADOKAWA)

「成り上がり」ものの作品のなかでも、『疾風伝説 特攻の拓』はその典型。冴えない男の子が不良デビューし、ヒーローになっていくという物語になっています。『カメレオン』や『今日から俺は!!』といった作品も、もともとは気弱な男の子たちが主人公です。

 大人に煙たがられたり、ダサいと思われていたり、恐がられていたりといった側面もあるものの、ケンカを通じて男に認められ、女の子にも好かれるというのがこの時期の「「ヤンキーマンガ」」の重要な要素。いわば、スクールカーストの底辺から成り上がるためのツールだったわけです。

 ですが、こうしたヤンキー像は00年代に入ると衰退し始めます。『クローズ』『WORST』といった王道的な青春・ケンカマンガの系譜が受け継がれつつも、リーゼントに象徴されるようなオールドスタイルな不良はもはや現実では見かけることがなくなっており、身近というよりもフィクションの存在に近くなっていきます。

そんななかで2000年に登場したのが『魁!!クロマティ高校』。ここで描かれる不良は強面ながら恐ろしいというより変わり者集団であり、完全なギャグとしての不良校が描かれます。「不良=怖い」から「不良=変わり者」であり、カースト的にも下層のイメージになっています。

 この傾向はさらに進んでいき、2010年代に入るころには『ヤンキー塾へ行く』『トラビスといっしょなら』といった作品が生まれてきます。こうした作品では不良はマイルドヤンキー的なイメージになっており、抗争による成り上がりではなく、むしろ貧困などの環境による閉塞感が色濃くなっているのが特徴です。ヤンキーは成り上がりの物語からどこか悲哀の漂う物語へと変質していったといえます。

『頂き!成り上がり飯』や『NYANKEES』、『六道の悪女たち』といったマンガは、ヤンキーが輝かしさを失った時代に登場した作品です。

 料理男子というモチーフを加えてみたり、熱いけど猫の話だったり、強いのが男の子というより女の子になったりと、「熱い男とケンカの世界」から軸足を少しずらすことで、下層のイメージがついたヤンキー像とのギャップを鮮やかに見せているといえるのではないでしょうか。『今日から俺は!!』が今改めてマッチしたのも、いい意味でマンガ的なケレン味の強さが時代にフィットしたのかもしれません。

 いずれにしても、「ヤンキーマンガ」は最初の隆盛期から40年近く経過し、現実社会では珍しささえ感じるにも関わらず、今なお人気のジャンル。今後も時代とともに変化しながら、不良たちの物語はフィクションの世界を賑わわせてくれるのではないでしょうか。

(小林聖)

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