『ドラゴンボール』『鬼滅の刃』も最終回掲載号”表紙”は別作品←え、なぜ? 「ジャンプ」本誌の意外な選定ルール
『アオのハコ』最終回掲載号の表紙を飾ったのは『ONE PIECE』でした。人気作の最終回なら表紙になると思いきや、『DRAGON BALL』『鬼滅の刃』『呪術廻戦』も同様です。歴代作品の最終回と表紙の関係を振り返ると『週刊少年ジャンプ』の編集哲学が見えてきました。
ほとんどの名作が達成できなかった偉業

2026年7月13日発売の「週刊少年ジャンプ」33号で、三浦糀先生の青春部活ラブストーリー『アオのハコ』が最終回を迎えました。ところが、同号の表紙と巻頭カラーを飾ったのは、連載29周年を迎えた『ONE PIECE(ワンピース)』(作:尾田栄一郎)です。『アオのハコ』は特大センターカラーだったものの、SNSでは「最終回なのに、なぜ表紙ではないのか」と驚く声が見られました。
そこで、有名ジャンプ作品の最終回掲載号を調べてみました。すると「人気作なら最終回で表紙を飾る」というイメージの方が、実情とは異なっていたのです。
●最終回は表紙になる、と思いきや?
世界的人気作『ドラゴンボール』(作:鳥山明)の最終回が掲載された1995年25号では、表紙を飾ったのは『BØY』(作:梅澤春人)でした。ただし、『ドラゴンボール』の最終回自体は巻頭カラーです。
続いて『ジョジョの奇妙な冒険』(作:荒木飛呂彦)第6部『ストーンオーシャン』が完結した2003年19号では、新連載『★SANTA!★』(作:蔵人健吾)が表紙と巻頭カラーを担当しました。
そして『NARUTO -ナルト-』(作:岸本斉史)の最終話が掲載された2014年50号の表紙は『暗殺教室』(作:松井優征)です。しかし『NARUTO』は巻頭カラーを含む最終2話が一挙掲載されており、大きく扱われていました。
2016年38号で『BLEACH』(作:久保帯人)が完結した際は、新連載『ラブラッシュ!』(作:山本亮平)が表紙と巻頭カラーを飾っています。
社会現象となった『鬼滅の刃』(作:吾峠呼世晴)も最終回が掲載された2020年24号で表紙になっていません。同号の表紙と巻頭カラーは、新連載『タイムパラドクスゴーストライター』(原作:市真ケンジ、作画:伊達恒大)でした。
2024年44号で完結した『呪術廻戦』(作:芥見下々)も同様です。表紙と巻頭カラーを飾ったのは、TVアニメの放送開始を控えていた『アオのハコ』でした。つまり『アオのハコ』は、『呪術廻戦』の最終回掲載号では表紙を任され、自らの最終回では『ONE PIECE』に表紙を譲ったことになります。
●表紙は作品への「功労賞」ではない
オンライントークイベント「ジャンプのミライ2022」で、当時の「少年ジャンプ+」副編集長・籾山悠太氏は、雑誌の売り上げが下がる可能性があっても、新連載は等しく表紙にする、どれほど人気があっても完結済み作品を大きく押し出すことは基本的にない、と語っています。
表紙は、長年活躍した作品に贈られる功労賞ではありません。その号を書店で手に取ってもらい、新しい作品や現在展開中の企画を読者へ届ける広告としての一面があります。
その姿勢を象徴するのが人気作『鬼滅の刃』の最終回よりも、先の読めない新連載を表紙に採用した2020年24号でしょう。終わる人気作を送り出す一方で、次のヒット作を育てることを優先しているのです。そこには「ジャンプ」の攻めの姿勢、前向きな編集哲学が表れています。
もちろん、最終回で表紙と巻頭カラーを飾った『SLAM DUNK』(作:井上雄彦)や『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(作:秋本治)のような例外もあります。
「最終回なのに表紙ではなかった!」という驚きには、表紙が作品への評価の反映やご褒美だという先入観があります。しかし歴史を振り返れば、「ジャンプ」の表紙が向いているのは完結する名作よりも、これから名作になるかもしれない新作なのです。
(レトロ@長谷部 耕平)

