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『海獣の子供』はこうして生まれた! スクリーンで味わう「生命誕生の神秘」

圧倒的な画力で描かれた「誕生祭」をスクリーンで再現

躍動する海洋生物の描写は、アニメ『海獣の子供』の大きな見どころ (C)2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会
躍動する海洋生物の描写は、アニメ『海獣の子供』の大きな見どころ (C)2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会

 現代の神話を思わせる『海獣の子供』は、とてもシンプルなストーリーです。夏休みに海と出会った琉花は、海と双子のように育ったもう1人の不思議な少年・空(そら)とも知り合うことになります。3人は幼いころに「光る魚の幽霊」を目撃した共通の記憶を持っています。光る魚の幽霊とは何なのか? 海、空、そして琉花は、その正体を確かめるべく「誕生祭」へと向かうのでした。

 五十嵐氏がほぼひとりで描き切った「誕生祭」がこの大冒険のクライマックスです。シロナガスクジラ、マッコウクジラ、ジンベエザメ、ウミガメ……あらゆる海洋生物たちが、不思議な声に導かれるように集まります。生命誕生の瞬間に立ち会い、そして祝福するために、生命の源である海洋に棲む生き物たちが一堂に会して群舞する様子が、圧倒的な画力によって描かれています。ページをめくりながら、陶酔感を覚えてしまうほどです。

 劇場版『海獣の子供』では、この「誕生祭」がフルカラー&音響付きで再現されており、スクリーンを凝視していると自分も『海獣の子供』の世界に巻き込まれ、生命の崇高さ、宇宙の神秘さに触れたような不思議な感覚に陥るのです。心地よいトリップ感です。

 海や琉花がまるで空を飛ぶように海中を自在に泳ぐ劇場版『海獣の子供』を5年がかりで制作したのは、松本大洋原作コミックの映画化『鉄コン筋クリート』(2006年)などで知られる「STUDIO4℃」です。オリジナル新作『きみと、波にのれたら』の公開が2019年6月21日(金)に控えている湯浅政明監督のデビュー作『マインド・ゲーム』(2004年)もトリップ感溢れる快作でしたが、やはり「STUDIO4℃」が生み出したものです。

 スクリーンいっぱいに広がる生命誕生の瞬間に、あなたもぜひ立ち会ってみてください。自分は決してひとりぼっちではない。そんな温かい気持ちに、きっと包まれるでしょう。

(長野辰次)

●『海獣の子供』
原作/五十嵐大介 監督/渡辺歩 音楽/久石譲
配給/東宝映像事業部 6月7日よりロードショー公開
(C)2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会

【画像】圧巻の映像! アニメ『海獣の子供』で躍動する海洋生物たち(19枚)

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